留守番の日はなにをして過ごすの?

その出口は、トモのクリニックの敷地内だが、喫茶店と入院棟に挟まれた間に位置してる。

このトンネルは、何時頃出来たのだろう。この存在を、トモや王子は知ってるのだろうか?

丁度良い、目の前にあるクリニックの2階には、王子のコンピュータ会社だ。王子に言って調べて貰おう。そう思うと、コンピュータ会社へと向かった。

 

コンコンとノックをして中に入る。

「あの……、今、宜しいでしょうか?」

「フィルは、そっちに行くと言っては出て行ったぞ」

「あの、見て頂きたい物があるのですが……」

「何?」

さっき出てきたトンネルに王子を連れて行き、説明した。

「私は、このトンネルを使って、家の地下から来ました。」

「え?」

「ここまで10数分……、普通の歩きだと20分程でしょうか。王子は、このトンネルの存在は」

「こんなトンネルがあったなんて、トモやエドは知ってるのかな……」

私は、王子に提案した。

「歩いてみませんか? そうしたら、中が分かりますよ」

王子は、そうだなと呟き歩いて行った。

 

すると、直ぐに気が付いた。

「私は、家から来たのですが一本道でした。こんな抜け道なんて無かった..」

その抜け道は2本あり、一本はクリニックの裏庭に、もう一本はGPの中庭に通じてた。

ふと見ると、王子は丁寧に壁面等を見ていってる。

「ジョン。これは私の管轄内の事だ。こっちで調べる。」

「分かりました。よろしくお願いします。」

 

王子はGPに向かって走り出した。その後姿を見て、私は表を通って家に帰ることにした。

私の遣るべき事は、ミハエルを家から追い出し、あの家を守る事だ。

フィルが来てるのなら、心強い。2人で追い出す。

 

木々を抜け、もう少しで家に着く。そんな時、木の上からフィルの声が聞こえた。

「お前、どこに行ってたんだ?」

「王子の所に」

「なんだ。迎えに来てくれてたのか」

私はフィルに、門より2メートル以上飛ばないとゲートに捕まる事を言い、先に屋根の上に飛び移る。私の後をフィルも見事に飛び着地したのを見て、思わず言っていた。

「鈍ってるかと思ったのだけど、良かったよ」

「ばかっ。誰に向かって言ってるんだよっ」

誰かが着地したみたいだ。微かな揺れを感じ振り向くと、くすくすっと笑ってるウィルが居た。

「デスクワークばかりだと鈍るもんねえー」

「なんで……、ボスは?」

「うん。ボスはもう大丈夫だよ。それにフィルからメール着たし」

「そうなんだ。フィル、ありがとう」

「どういたしまして。それより、ミハエルに何もされなかっただろうな?」

「う、うん……」

きっぱりと言えない自分が情けない。

ウィルは、近寄ってくると耳元で言ってくる。

「違う?」

「なんで分かるんだ……」

「まったく、シュワルツの事といい、今回の事といい。フィル、驚かないでね。」

「うん、なになに?」

「ジョンはね、ミハエルに犯されたんだって」

「はあ?」

大声を出したフィルは、一瞬遅く手で口元を抑えると、その状態でもごもごと言ってくる。

「言っただろう。あいつと接触するなって」

「いや、寝てる時だったみたいで……」

フィルとウィルは、2人揃って溜息を吐いてくれる。

「で、あいつは何処に居るんだ?」

 

屋根裏のコンピュータ室に2人を招き入れ、仕掛けてるトラップの種類と位置を教えていると、ミハエルの居場所を見つけた。その時、2人から知ってる情報を教えて貰った。だが、他にもある筈だろうに、詳しくは教えてくれなかった。

ミハエルは5位以内に位置していたらしく、チキン・ジュニアに懸想して裏を真似していた。今は悪の道を突き進んでる、という事だけだ。

なるほど、アンソニーにね。物好きな奴だな。

 

そういえば、朝から何も食べてないな。まずは腹ごしらえをしてからだ。そう思うとキッチンに行き、3人分の食事を作り、その場で立ったまま食べる。

ホットサンドとホットココアだ。

食べ終わると、フィルはアップをしながらチューイングガムを口に含み赤外線ゴーグルを首に引っ掛けている。

ウィルは髪を結い直し赤外線ゴーグルを手首に巻いてる。

私は、目を瞑るとゲップが出てしまい、すかさず2人から背を小突かれた。

小さい声で、ごめん、ごめん……と言い、もう一度目を瞑る。

 

3人が目を瞑り、意識を研ぎ澄ましては気配を殺して待つ。