男は何歳になっても夢見る少年だよ

10

いきなり痛みが襲ってきた。

「ったーい」

「ってぇよぉ」

父ちゃんのドス声が聞こえてくる。

「やって良いことと悪いことがあるだろうが。この2人はっ」

「父ちゃん、痛い」

「自業自得だ」

トモも文句を言っている。

「おじちゃん、凄く痛い」

「ったりまえだ」

うー……と、2人して頭に手をやって唸っていると、声が掛かる。

「まあ、あの獅子は、そんなに重みがないから3人は潰れただけで生きているがな。後の2人は自業自得だ。いいか、康介。これからも同じことがあるだろう。今回と同じように逃げ出せるとは思わないことだな」

「はい。ごめんなさい」

「トモ君もだ」

「はい、ごめんなさい」

ふいに冷たい物が頭に当たる。

「はい、これで冷やしてて」

「お母ちゃん、ありがとう」

「香織も殴る気満々だったのだけど、頭が痛くなったから殴るのやめたって」

「良かったぁ」

お母ちゃんは微笑むと、今度は隣にいるコースケに声を掛けている。

「康介君も、そのまま冷やしてて」

「え、でも……」

「いいから。少しは痛みが引くわよ」

「ありがとうございます」

すると車が動き出した。

「あ、父ちゃん。待って」

「お前は歩いて帰ってこい」

「えー……」

「すぐ着くだろうが」

「まあ、それはそうだけど」

お母ちゃんが僕の思いを言ってくれた。

「家まで送ってあげるからね」

「え、だって、すぐそこだし」

「そのすぐそこで、誰かに待ち伏せされていたらどうする?」

「あ、でも……」

「大丈夫よ。おチビのトモもいるからね」

その言葉に腹が立ったのか、声に出ていた。

「チビだけ余計だよ」

「でも、トモも一緒に送りたいでしょ?」

「うん。送りたい」

数分だけなのだけどと思っていたが、素直に送られていた。

なんて言えばいいのか分からなかったらトモが声を掛けてくる。

「じゃあ、明日も幼稚園でね」

「うん。また明日」

お互い、バイバイと手を振って、俺は門をぐぐり家に入った。

 

途端に抱きつかれそうになった。

でも、足が滑って玄関先のタイルに顔面から転げてしまった。

「うーん、避けられてしまったか。それとも足が短かったか」

「父ちゃん、抱っこー」

「ほいほい」

「ほんっとーに痛かったんだからな」

父ちゃんはクスクスと笑いながら言ってくる。

「もう、今日のようなことは二度としないこと。いいな、守れるよな」

「はい、もうしません。ごめんなさい」

本当に、お前は死んだお母ちゃんによく似ているよな。

そんな呟きが聞こえてきた。

「父ちゃんは、今でも母ちゃんのこと好きなの?」

「ああ、好きだよ。だから結婚したんだよ」

「母ちゃんは……。いや、いいや。父ちゃん、今日は思いっきり抱っこしてよね。今も顔を打ったし……。本当に痛かったんだからな」

「はいはい」

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『Asami Novel』のあさみと申します。
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