出会うから別れがあるんだ

10(最終話)

フィルとジョンがシンガポールで食事をしているのを見たウィリアムは、背を向けた事で意識を逸らした。途端にアーノルドから声を掛けられる。

「ウィル、お前のはこっち」

「何が?」

 

振り返ると、たしかに自分のブリーフバッグはアーノルドが持っている。

あれ、でも私も持ってるよ。そう思い、自分の持っている物はと見ると、黒いストラップが付いているブリーフバッグだ。これはアーノルドのだ。溜息を吐き苦笑していた。

「まあ、行先は一緒だ」

「席も隣だしな」とフォローしてくれたアーノルドにサンキュとブリーフバックを返す。

 

ウィルは(あれから3年だ。3年経っても、あの2人を見ただけで、こんなになるなんて……。まだまだ駄目だな。しっかりしないと……)と思っていた。

 

日本人のメスオペドクターに出会うまでは、フィルとジョンは”好き”の対象として見ていた。

意味合いは違うが、ジョンはフィルに信頼を寄せ、甘え頼る好意の対象になっていた。まるで恋人のような感覚にさえなっていた。そんな自分の気持ちに気が付くのは、まだまだ先の事。

 

フィルにとっては、ジョンは可愛い弟の存在として見ていた気持ちから、守ってやらないといけないという存在になっていた。

 

その日本人のメスオペドクターであるトモアキ・フクヤマに出会わなければ、お互いがお互いの気持ちに気が付いていなかっただろう。

 

そして、ウィルと再会する事も無かっただろう。

それは、まだまだ先の事である。

 

 

(終わり)

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『Asami Novel』のあさみと申します。
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