男は何歳になっても夢見る少年だよ

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ふと目が覚めると、真っ暗な所にいた。

電気をつけようとするが手のたわない所にあるのか。

スイッチってどこだっけ。

そう思っていると声が掛かる。

「友、起きたのか」

「コース……」

スイッチが付けられ明るくなると、康介ではなく博人さんが居た。

「あ、夢を見てたのか」

「ぐっすりと寝ていたけど、昔の夢?」

「うん。親友の父親に拳骨食らって、一緒に痛いよーと言って泣いた夢」

わははっと博人さんは笑ってくれるが、あれは本当に痛かったんだ。

あの後、あまりにもの痛さに幼稚園を休んだら見舞いに来てくれたっけ。

双子の姉であるカオリも頭を押さえていた。

「痛いよー」

「カオリは殴られてないだろ」

お母ちゃんが言ってくれた言葉があった。

「双子だから、殴られなくても痛みは分かるのね」

2人して、お母ちゃんに抱っこされていたな。

そうだ。

あの時、言ってたな。

「男は夢を見て、追いかける少年だよ」って。

その言葉は良いなと思って、ずっと心の中で思って使わせてもらっている。

康介。

お前の子どもは、私の手の届かない所に行ったよ。

あいつを守るのは、私の信頼する人だ。

「友?」

「大丈夫だよ。もう痛くないから」

「私が殴ったら、どうだろう?」

「やめて」

軟そうに見える人ほど力はあるからな。

康介の父親も軟そうだったけど、あれほど痛いとは思いもしなかったものだ。

お母ちゃんも言ってたっけ。

「お母ちゃんより怖い人だねえ。もう二度と同じことはしないようにね」

「ごめんなさい」

香織も言ってたな。

「あの子のお父さんって力強いんだね。私も殴ろうと思ったけど、頭が痛いからやめた」

香織もバカ力の持ち主だからなあ。

まてよ。と、言うことは、あの時の家が康介の実家ということか。

康介と優介の。

そっか、お城みたいな家だったなと思いながら博人さんに聞いていた。

「ねえ博人さん」

「なに?」

「六本木だっけ、斎藤さん家って知ってる?」

「六本木の斎藤さん?」

「お城みたいな家」

「あの辺は田園調布と同じで高級住宅地だぞ」

夢を思い出しながら言ってやる。

「えっとね、ドーベルマンもいて」

「ドーベルマン? ああ、斎藤財閥か」

その言葉に驚いた。

「財閥?」

「あのコンピューターバカも財閥の子どもだろ」

「そうだけど……」

悟のコンピューターをハッキングしても分からない箇所はあった。

どうしても開くことができずにイラついていたんだ。

そうか、財閥の人間だったのか。

康介だけでなく優介も普通の子らしくないと思うところがあったことを思い出す。と同時に「御」が面倒を見てくれた理由も分かった。

 

1人でも敵を減らせるからな。

でも、優介は敵にはならないだろう。

あいつの側には悟だけでなく昌平さんもいる。

あの2人が目を光らしているから大丈夫だ。

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『Asami Novel』のあさみと申します。
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