男は何歳になっても夢見る少年だよ

13(最終話)

博人さんが覗き込んでくる。

「どうかしたのか?」

「いいや、べつに」

そっか、財閥の直系か。それを聞いてこの言葉の意味も分かったよ。

「男は夢を見て追いかける少年、か」

「なんだよ、急に」

「いや、さっきの夢を見て思い出したんだ。男って冒険好きだよなあって」

「冒険というか探検だな」

「博人さんは、小さい頃って何が好きだったの?」

「んー……。今とは違って体力がなくて、もっぱらバイオリンばっかり奏でていたな」

「えぇ……、信じられない」

それでも、考え込むと付け足してくれた。

「マルクと一緒に旅行したことくらいかな」

「へぇ、旅行ね」

「楽しかったよ」

「2人で旅行するほど仲良かったんだね」

「あの頃はマルクに付きっきりだった。本当に楽しかったよ」

そこで、あることを思いついたので言っていた。

「ねえ、博人さん。その斎藤財閥の人と会うことってある?」

「どうだろう……。なにを考えてるんだ?」

「あの時はごめんなさいと謝りたいだけ」

「あの時って?」

ため息ついて言ってやる。

「さっき言ったでしょ。親友の父親に拳骨食らった夢を見たって」

「それが?」

「その斎藤財閥家で起きたことで拳骨を食らったんだよ」

すると笑われた。

しかも、こんなことを言ってくる。

「とっくに時効だろう」

「そうだろうけど、その財閥の直系の嫡男が私の親友なんだよ。優介も、また……。そこの嫡男なんだ」

そう言うと博人さんは驚いている。

「何を考えている?」

「別に。ただ、もっとお近づきになりたいなと思って」

すると、とんでもないことを言ってきた。

「あそこは生まれてくる子どもは女ばかりだ。男はいても跡を継がない」

「え、そうなの?」

「お前、もしかして婿養子に……」

「違う、違う。それに私は子持ちだ」

「再婚しようとは」

「思ってない」

「そう。即答なら良いんだ」

しかし、そういう事か。

うーん……、と考え込んでいたら声が掛かる。

 

「本心は?」

「ただ、あそことお近づきになっていたら、康介のことを知ることができるだろうなと思っていたんだけど。でも男はいないのか……」

「あそこ主催のパーティーとかは誰でも避けてるぞ」

「婿養子の話を押し付けられるから?」

「そうだ」

それだけは嫌だと言い、両腕で大きな×を作る。

「まあ、参加しているのは年を取った爺さんや、小中学生ぐらいだ」

「仕方ないなあ。自分でなんとかして情報集めるかあ」

(終わり)

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『Asami Novel』のあさみと申します。
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