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いつも、あの部屋に居て、あの椅子に座っている男を、あの息子は父だと思っているみたいだ。

あの子の父は、この私なのに。

 

マルク。

自分だけイギリスで生まれた事を、まだ根に持ってるようだが。

私は、それだけで次代を決めるわけでは無い。

 

音楽を愛でる人間になって欲しい。

エドまでいかなくても良いから。

ヒロみたいにクールでなくても良いから。

小さい頃のお前は、明るく笑顔の絶えない子だった。

 

私は人殺しだ。

いくら無理矢理あの隊に入れられても、私は大勢の人間を殺めた。

あそこで生き延びる為には、必要不可欠な事だった。

 

そして、あのフランスのパーティでグズと再会して家紋を創った。

あれには、私の思いが入っている。

 

公表する家紋はシンプルな方にして欲しいと思い、もう1枚創った。

こっちは、私専用のだ。

 

アダム=バーンズは、自分用の家紋を眺めている。

 

蒼は、宝石(いし)の色。

金は、アダム=バーンズの金髪。

銀は、イタリア王子であるユタカの銀髪。

赤は、アメリカに帰国したウォルターの赤髪。

黒は、中国に帰国したリンの黒髪。

 

その他にも、自分の仲間の居場所に、同盟を結んだ多くの国々に、多くの家。

それは、まるで大判の世界地図だった。

 

リン、ユタカから聞いたよ。

病で死んだって。

君のアレは、君の甥っ子に渡った事もね。

ウォルター、君はどうしてる?

元気で生きてるだろうか。

グズ、いやユタカ。

私は、アレをどうやら無くしたみたいだ。

ごめん。

君が見つけてくれる事を祈ってるよ。

 

アダム=バーンズは、その男が『御』となった晴れ姿を見る事は無かった。

息子であるマルクに殺されたのだ。

毒と刃と銃によって………。

 

現在のフォン=パトリッシュの『御』は、初代の『御』であるアダム=バーンズの意思を汲み取り、その原本の方に桜の木を付けて、家紋を世界に公表したのである。

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