そして、1ヶ月後。
エドワード様から招集が掛かった。
元側付だった、フィル、ウィル、ジョンと、退院したミハエルもだ。
ヒロト、レイ、ロウ、チャーリー、イタリア王子のユタカ、そしてオーストラリア・ドンにも。
ヒロトがエドに聞いていた。
「エド、どうしたんだ?しかも、このメンバー……」
「ヒロ、お前は私のフルネームが言えるか?」
「もちろん。どうして?」
「ユタカ、言えるか?」
「もちろん、言えますよ」
「トモは?」
「……もしかして、ドイツの人が死んだのと関係ありますか?」
「さすが、トモ。それだよ、それ。いいか、皆は私のフルネームを知ってる筈だ。マルクは死んだ。そのマルクの言い分に惑わされて、私の名前を『エドワード』だと教えこんでくれたのはマルクだ。チャーリーにロウ。私のフルネームを知ってるだろう。言ってみろ。」
チャーリーとロウは溜息を吐くが、チャーリーは仕方ないなと呟き応じる。
「もちろん、知ってますよ。ただ、言いやすいのは『エドワード』の方だけどね」
「いや、正式名で言って貰おう。私は『エドワール』だ。エドワール・ジョンソン・フォン・パトリッシュ。それが、私のフルネームだ。
特に、元側付4人! 私をエドワール以外の名前で呼んでくることは許さないからな。」
指名を受けた元側付4人は一斉に返事をした。
「はい、畏まりました。エドワール様」
それから、3ヶ月後。
『御』のお側付だったミハエルは、得意の薬分野で薬剤師の免許を持っていたというのもあり、エドワール様の病院で薬剤師をしながら、王子を含め7人がしている研究を手伝う為パースに来た。
目敏いフィルは、ミハエルを睨んでいる。
「なんで、ここに居る?」
「そっちこそ、なんで居るんだ?」
「ここで働いているからだ」
「ふーん……。私はエドワード様から就労を貰って来たんだ」
「エドワード様ではなく、エドワール様だろ」
「それに、お前を超してやるからな!」
フィルは鼻で笑ってる。
「ふんっ。出来るもんか」
「それに、ジョンを抱きたいからな。あの身体が忘れられない」
フィルは、未だにあの兄弟喧嘩の光景を忘れられないでいる。
だから、こう言ってやった。
「ふんっ。もっと無理なことだな」
「いや、分からんぞ」
「おまえには無理なことだ。ジョンのことは諦めるんだな」
お互いが睨み合う。
そのうちミハエルが声を掛けた。
「どういうことだ?」
「これだけは言っておく。ジョンに手を出すと、お前は死ぬ」
「何を根拠に」
ミハエルの言葉を遮ってやる。
「お前、あの男のことを知らないのか?」
「あの男とは?」
「お前と一緒にジョンに手を出した奴」
「ああ、マークか」
その時に気がついたのか、ミハエルはこう言ってくる。
「そういえば、あれっきり見ないな。どこ行ったんだろう」
「兄に殴られ蹴られて、骨折で入院中だ」
「あいつはドジな奴だなあ」
「お前を差し出してやっても良いんだぞ」
「ほう、やってみろよ」
「そしたら、お前も骨折で入院だ」
「私は、そんなドジは踏まない」
ならやってみろよと言われ、フィルに連れて行かれたのは海が正面に見える病院だった。
「ここ?」
呼び出してもらったので、目の前には室長、もといレイが居る。
「室長」
「ったく、それ呼びはやめろって言ってるだろう」
「もう1人は、こいつです」
「もう1人とは?」
「寝ているジョンを襲った奴」
その言葉を言い終わると同時に、シンガポールの病院で室長をしていたレイのパンチとキックがミハエルに襲いかかる。
怖い……。
ガードばかりで攻撃することができないでいるミハエルはコテンパンにやられてしまった。
そして、マークと同じ病室に入り、入院する羽目になってしまった。
END