再度、レイは言ってくる。
「ところで、ジョン……」
仕方ない、もうこれ以上延ばせないか、と諦め応じた。
「レイ、私は良い子にしてましたよ。驚きましたが、終わり良ければ全て良しです。」
「そう……」
「紅茶淹れてきますね」
「いや、要らない」
「旅の疲れを」
「うん、旅の疲れを。ジョン、君が……」
と言いながら、レイは私を抱きしめてくる。
その言葉の意味することをやっと気付き、真っ赤になり俯いてしまった。
「朝から、ですか……」
「ああ。私の顔を見ようとしないからね」
「皆居るのに……」
レイの唇が、うなじに触れる。
「んっ」
背中から抱きしめられ、肩を露わにされてはキスをされる。
「あっ……、ま、待って。部屋のドアを、閉めないと」
レイは私を担ぎ上げると、ドアを閉め鍵も掛けベッドに押し付けてくれる。
「レイ。本当はね、寂しかったの」
レイは優しく微笑み、私もだよと言いながら、私の服を脱がそうとしてくる。
「レイ……」
「マークか?」
は?
「あの野郎っ! 何時だ? なんで直ぐに言わない?」
「え……、レイ?」
「このキスマークはなんだっ? マークはアメリカ仕込みのゲイだっ」
「え?」
「もしかして寝てる時か……」
レイはベッドから降りようとしてるので、私はしがみ付いていた。
「レイッ! レイ、待って。マークを怒る気も分かるけど、私は目が覚めるまで気が付かなかったんだ。ごめんなさい。レイ、どうしても行くと言うのなら、私を抱いてから行って!」
レイは、体中から怒りのオーラを撒き散らしている。
「レイ……、お願い。レイが帰ってくるのを楽しみに待ってたんだ。お酒を飲んで寂しさを紛らわせていた。二日酔いで頭が痛くなって、気が付いたら、私の横でマークが寝ていたんだ。でも、私は知らなかったんだ。マークに襲われてたなんて…。それに、あの部屋がマークの部屋だったなんて事も知らなかったんだ。ごめんなさっぃ……。お願いだから、抱いて。レイ、私を抱いてから行って。」
チッ……、と舌打ちした音が聞こえた。
次の瞬間、噛みつくように、レイの唇が私の肌を吸っていく。優しさなんて欠片も感じられない、怖いぐらいだった。
「ん、ん、んん……」
乳首も噛まれ痛みを感じる。優しく噛んでくる甘噛みではない、本当に齧ってくれてる。
「っ……!ぅて」
腹も同様に噛みつかれ快楽を感じるよりも、痛い思いを受ける。
「くぅ……、あ、レイ、レ、イ……」
下半身も露わにされ私のを思いっきり噛んでくる。
「いっ! っぅ……、レィー……」
脚を広げられ、レイの指が、私の中に入ってこようとする。慣らしもない状態なのに……。
「レ、イ……、あううっ、ぐっ……」
レイは何も言わない。
声が聴きたい、温もりを感じたい。
そう思うと泣いていた。
「レイ、レイ、抱きしめて、温もりを感じたい……」
それでも抱きしめてくれないレイに、私は思いをぶちまけた。
「レイ。私は、貴方が好きなんだ。貴方でないと嫌なんだ。でも……、でも、シュワルツの事や、マークの事を言われると、何も言えない。でも、マークには、はっきりと言ったよ。『私はレイが好きで、恋人であり、エッチしてるんだ』とね。
レイに言わなかったのは、私とマークの間では片が付いたからなんだ。マークは私に謝ってくれたんだ、土下座をしてくれたんだよ。今朝でも、フィルとウィルが居るのにも関わらず、私の顔を見ると、すぐに謝ってくれたんだ。『昨日は御免なさい』ってね。
マークは悪い人ではない。私は、マークとは仲の良い友人になれると思ってる。
お願いだから……。レイ、私を抱きしめて。温もりを感じさせて」
暫らくすると、ため息が聞こえてきた。
はあ……。
「仕方ないな。でも2人だけで片を付かせてどうする? あいつには、後で絞めてやる」
「レイ……」
「言っておくが、私はマークの兄であり、お前の恋人なんだからな。自分の恋人を弟に寝取られて、誰がそのままにするもんかっ。マークの野郎、覚えとけよ」
「レイ……」
全く……、とブツブツと不平不満を言ってるレイは、私をひっくり返してくれる。四つん這いにさせられ、きょとん…となってしまった。
レイの声が聞こえる。
「そのままシーツを握ってろ」
シーツを握るって、どういう意味なんだろう?
ハテナマークが頭に浮かんだが、すぐに意味が分かった。
レイが、私の中に……、後ろから突いてきてるのだ。
「あ……、く、うっ……」
力が入らない。
「んー……、ん、ん、んっ」
いつもは腹を上にしての正常位だけど、こんなのは初めてだ。
「あ、あ、あ! レイ……」
レイに抱きしめられたいのに。
「レイ、レイ、レ……イ……」
私の塊からは、蜜が溢れてる。
「あ、あ、あ……、レイ……」
「ジョン……」
微かだが、掠れ気味の声が、はっきりと聞こえた。
そのレイの声に煽られ、私の中はきつく締まった。
「ジョンッ……、きつ、力を」
「レイ……」
いつしか、レイの動きに合わせて私の身体も、腰も動いてる。
「あうっ……」
「ジョッ」
「レ……、あ、もぅ……」
「ジョン……」
「ア! あああっ……」
放っていた。
一瞬遅く、レイのが放たれた。
「うっ……」
「レイ、抱きしめて。貴方を感じていたい……」
「お前ね。そう煽ってくるな……」