甥っ子コンプレックス

17

シェリーの父親ヘル・グスタフォーから連絡が着た。

イギリスの生まれた町で火葬にすると。シェリーを連れて行くと、予想に反して泣くのを我慢していた。

「シェリー」

「私は泣かない」

「シェリーは強いな」

ヘルが声を掛けてくる。

「マルク様、宜しくお願い致します」

「本当に良いのか?」

「はい。シェリー、元気でな」

声を掛けられシェリーは驚きの声を出している。

「お父様、どこかに行くの?」

「ハネムーンに行った所に行くんだ」

「何処よ?」

「サリーが、もう一度行きたいって言ってたから」

そこで話を止めるつもりだったみたいだが、シェリーの顔を見て付け足してきた。

「大丈夫だよ。後を追って死のうとは思ってないから」

「でも」

「何もせず、1人で居たいんだ」

その強い口調にシェリーは黙ってしまった。

 

何かを察したのだろう、シェリーは張り詰めた表情をして言ってきた。

「分かった。その間、私が家を守るからね」

その言葉に、ヘルと私は言っていた。

「お前は、マルク様の所だ」

「シェリーは私の所だ」と、重なっていた。

 

「なんでマルクの所なの? ねえ、何で?」

父親に食って掛かるシェリーに声を掛ける。

「シェリー」

「何よ。何で、あんたの所に」

「お前、自分の足の事を忘れてないか」

「足? ああ、ちょい手を離して」

言われた通り離してやると、シェリーは地べたに倒れる様に座り込んだ。

「納得したかな」

 

シェリーは私を睨んでくる。そんなシェリーに父親は声を掛けている。

「1人だと何も出来ないのが分かっただろう」

その言葉にムカついたのだろう。泣きべそになって言ってくる。

「なら、なら、あの家はどうなるのっ」

だから、その顔でそんな表情は止めて欲しいな。そういう思いで言っていた。

「分かった、分かった」

「何が分かったって?」

「私が一緒に居てやる」

私の、その言葉にシェリーとヘルはキョトンとしている。

「は?」

「マルク様、どういう?」

こう言っていた。

「だから私がシェリーの家に、ヘル・グスタフォーの家に行くと言ってるんだ。お分かりかな」

その言葉の意味に気が付いたのだろう。

「なっ、マルク様が」

「それなら安心だろう」

 

だが、シェリーは即答していた。

「それ良いわね。マルク、2,3人ほど使用人連れて来てね」

「分かった」

この件を子どもが解決した矢先、父親は叫んでいた。

「え、シェ、シェリーッ! お前は何て事をっ。マルク様は領主であり城主なんだぞ。その様な方を我が家に、ってマルク様もマルク様です。領主が動くだなんて、おやめ下さいっ」

だが、シェリーは覆さなかった。

「良いじゃない。マルクは来たがってるんだから。ねー、マルク?」

「ああ、そうだよ。それに私はまだ領主でも城主でもない。その子どもだ。だからヘルも気を遣わないでくれ」

 

ヘルは渋々と頷いてくれた。

「マルク様が、そう仰られるのなら……。このバカを宜しくお願い致します」

「バカとは誰のことよ」

「お前の事だ。この大バカ娘っ」

シェリーはキャラキャラと笑ってる。

サリーとシェリーの居心地の良さ。

それは、私を1人の人間として見てくれてるところだ。

サリー、今迄私を見てくれてありがとう。

今度は、空の上でヘルやシェリーを見守ってて。