「お、お前はっ……」

「おや、私をご存知?」

「このコンピュータ野郎がっ! ホワン様にくっ付いて行っただけでなく、あの方の側にまで」

「あの方って、どの方だ?」

「ホワン様のジュニアに決まってるだろっ!」

「ああ、あのリトルか……」

「あの方は死んだ、と聞かされてる。本当に死んだのかどうか、お前は知ってるのか?」

「私が知るわけないだろ」

「フィルッ!」

「煩いな。それならリトルの側に居た奴に聞けば良いだろ?」

「だから聞いてるんだ。フィル、教えろ!」

 

私は、その2人の間に割って入ってやる。なにしろ、ウィルの言っている”リトルの側に居た奴”とは、私の事だ。

「ミハエル、何を言ってるのか分からないが」

「まずは、お前を手に入れる。仲間に」

「ならない。それに、なりたくもない!」

「そうか、それは残念だな。なら、消すまでだ」

 

さすがミハエル、元お側付で、しかも5位以内の奴。

身体能力は五分だろうと思っていた私は、彼を侮っていた。ウィルなんて、ミハエルに毒づきながら手刀を決めていってる。

「クソ真面目のメガネ君。あのトレードマークのメガネはどうした?」

「何言って……」

「コンピュータ野郎の事は知っていて、私を知らないって? ざけんじゃねぇっ!」

 

ウィルは、ミハエルの股間を蹴り上げると少林寺の構えを取った。

だが、すぐに裏の構えをした。

「あのジュニアに懸想して裏を真似していただろう。あの裏は、モノになったのか? 真似っこのメガネ君。裏同士でやるか?」

「それを知ってるのは……」

いきなりウィルが飛びキックをかます。

が、すんでのところでミハエルは身を躱しウィルの後ろを取る。

が、ウィルは身体を低くさせたまま回し蹴りをして、ミハエルの膝を落としていく。

膝をついたミハエルは、一瞬こっちの方を見ると不気味に微笑む。

次の瞬間には、ミハエルは私の後ろに居た。

が、フィルがミハエルの後ろを取り、ナイフを首に当て脅している。

「腕は鈍ってるみたいだな」

「くそっ……、この野郎っ!」

ミハエルは私を抱きかかえたまま側転をしてくれる。

フィルから距離を取り、私を後ろから羽交い絞めにするつもりみたいだ。

が、次の瞬間、私はミハエルの腕から擦り抜け、後ろを取り左手を縛り上げるとナイフを肩に当ててやる。

「首と肩と、どっちが良い?」

 

ミハエルは後ろを振り向いてくるが歯を剥いてる。

「っさまあ……」

「私を犯した罰を受けるんだな」

そう言うと、私はナイフでミハエルの右耳を突き、ウィルは空手キックでミハエルの尻を叩く。

「ぐっ……」

 

ミハエルは右耳に手をやり床に倒れる寸前、私はミハエルの腹を目掛け思いっきり脚を振り上げる。

するとミハエルは身体を半分に折り曲げて、床に突っ伏した。

 

そのミハエルに、フィルは声を掛けた。

「ミハエル、これ以上やる気あるか?」

「フィル……、この2人は」

 

フィルは、ミハエルの髪を引っ張ると横っ面を叩く。

その拍子に何かが飛んできた。何なのだろうと思い、しゃがんで見ると小さく丸い物だった。

ウィルの声がする。

「コンタクトか。なるほど、メガネではなくコンタクトにしたのか」

 

ミハエルはフィルに髪の毛を引っ張られてるにも拘らず、睨んでいる。

「あの頃はデイモスとお前が1、2位を競い合っているのを見て、そんな2人を羨ましいと思っていた。でも、貴様とタイ張って手傷を負わせたり、殺せることが出来ると、私の方が1位だな。相手になれよ。」

「……いいだろう」

 

その2人に、私は言っていた。

「やるのなら外でやって! これ以上、家の中を壊したら怒られる」

ウィルも賛同してくれた。

「そうだな。ここの持ち主は怒らせるとドイツ・ジュニアよりも怖いからな」

フィルが、顎でミハエルに外に出ろ、と示す。

「だろうな。あの人は、本当に怖いからな」

 

私は、ぶつぶつと愚痴っていた。

「2人は良いよ。私なんて、24時間ずっとだもん」

そこで、何かに思い付きミハエルに言ってやった。

「ミハエル。コンピュータバカに勝っても負けても、ここの掃除と片付けはやって貰うからね!」

「へっ、貴様らもだろ」

「いや、ミハエルだけだな」

「フィルッ、お前何を」

「私は見てた事を言ってるだけだ。あの2人は、確実にお前に当てていた。お前が避けたり家具に当たったりしなければ、壊れてなかった。」

「避けるのは当然だ」

 

その言葉に、思わずウィルとフィルと私の3人はハモッテいた。

「避け方が下手なんだな」

 

そして、3人して笑っていた。

あははははっ。

 

ミハエルは呆れたような表情をして言ってくる。

「フィル、あの2人は……」

「あー、めんどくさいなぁ。自己紹介してやれよ」

えー、めんどいんだけどなぁと言いながら、ウィルは自己紹介をする。

「『本の虫』だよ」

それだけで良いのかと思い、私は溜息を吐いて自己紹介した。

「『泣き虫』だ」

ミハエルは目を大きくして驚いてる。

「え? まさか同じ……」

フィルが、その後を言って締めてくれる。

「そう。私らと同じ、元側付だよ。それに2人とも簡略化してくれてるが、もっと付け足すと。『7位の本の虫』と『一番年下の泣き虫』だ。」

「なっ、7位のって……、力を出し惜しみして7位に甘んじ、フィルとデイモスに次ぐ、力の持ち主のウィルかっ?」

「あー……。まあ、そう言われてた時もあったなぁ」

 

今度は、私の方を見て言ってくれる。

「しかも『一番年下の泣き虫』って……、おチビだったジョン?」

「うーん……。なんで、そこで名前が出てくるんだろ」

「お前等3人は何時も一緒だったからな。しかし……、本当に良い身体をしてたよな。もう一度抱きたい。ジョン、もう一度抱かせろ」

ミハエルは舌なめずりしながら、私の方に寄ってくる。

と、同時に「ドンッ……」と鈍い音が聞こえてきた。

 

ふと見ると、ミハエルはエントランスの床に倒れていた

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