出会うから別れがあるんだ

ボスの苛立った声が聞こえてきた。

「何を言ってるのか、さっぱり分からないが」

 

レイは英語に切り替え遮っている。

「ミスター、この2人が欲しい」

「欲しいのは違う人間ではなかったのか?」

「この2人が良い」

「うー……、本当に重宝してるんだよ」

「パースにある私の所で仕事をして貰いたい。ウィル、アール、どうだろう?」

 

その言葉に反応していた。

「パースって何処?」とアールが疑問を口にしていたが、私は食いついていた。

 

「ミスターはパースの人なのですか?」

「ミスターでなく、レイでよろしく」

「あ、はい、ごめんなさい。レイ」

「そうだよ、パース出身なんだ。どうかな?」

「偶然ですね、私もパース出身なんです」

 

その言葉を聞きレイは頷いてる。

「病院を建築中でね。スタッフ集めしているんだ」

 

病院という言葉にも食いついていた。

「医療関係は強いですよ、薬にもね」

「君は秘書とかも出来そうだな」

「はい。是非、スタッフに入れて頂きたいです。あと1年で契約切れます」

「それじゃ、1年後は是非来て欲しい。アール、君は?」

 

アールは本当に困っているので助け船を出してやる。

まずは、さっきの質問の答えだな。

「アール。パースはね、オーストラリアにあるんだ。シドニーと違って、こっちシンガポールの近くにある。アールはどうしたい? 自分の言葉で言ってごらん」

 

アールは本当に困り顔で口を開いた。今度は英語だ。

「病院仕事は未知の分野だ。出来るかどうか自信ない……」

 

その言葉にボスは食らいついた。

「本当に重宝してるんだよ。アール、君だけでも良いから、契約を更新してくれ」

 

レイも食らいつく。

「私はシンガポールに居る。パースの病院ではオーナーになるが、アール。君にはボスになって貰いたいと思っている」

 

この言葉に、意味合いは違うが3人の言葉は同じだった。

「ボスに……」

 

レイの言葉は続く。

「shake like a jelly体型のボス。いざとなると君は強い。ボスに向いてるよ」

 

その言葉でアールは苦虫を潰した表情になり、ボスは笑い出した。

「仕方ない……。shake like a jellyアール、君のボス就任にエールを贈るよ」

「え、ボス?」

「レイの補佐をしてやれ。で、こことリンクしてくれると尚嬉しいな。レイ、どうかな?」

「それは嬉しいな。ここがスポンサーになってくれると力強い」

 

私は大笑いしていた。

だって、shake like a jelly体型だなんて言うんだもの。

 

アールに怒られ頭を叩かれた。

「いつまで笑ってるっ」

「だって、だってshake like a jellyって……」

「ウィルー……」

「ごめん、ごめん」

 

そして1年後、アールはシンガポールを発つという時になって、本名を教えてくれた。

アーノルド・フランチだと。

そのアーノルドは一旦イタリアに帰国して手続きを済ましてくるって。

 

それまで私はシンガポールで待っていた。

ボスから1日でも良いから長く働いて欲しいと言われてたのもあるけどね。

でも、私の気持ちは違う。

ドイツの近くに居たくなかったんだ。

どうしても、思い出してしまうから。

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『Asami Novel』のあさみと申します。
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