「ただいま、ジョン。」

 

レイだ。リビングに居た私は声を掛けた。

「レイ、お帰りなさい。リフレッシュ出来ましたか?」

「ああ。土産を買ってきた」

「わあ、嬉しいな!」

「それはそうと、なんでマークが……」

「パスポートの更新だそうですよ」

「ああ、もうそんな時期か」

「あ、そうだ。レイ、私は部屋を変えましたからね」

「え?」

「今まで使ってた部屋はマークの部屋だったみたいで、返しました」

「もしかして、変わった部屋っていうのは……」

「こっちですよ」

と言って、レイを私の新しい部屋に案内した。

そう、例の隠し部屋の真下に位置する部屋だ。

そこでは、ウィルとフィルが作業をしている。

「ここです」

「え……、なんでウィルが? おや、フィルまで居る」

 

声を掛けられ、振り向いたウィルは笑顔になった。

「あ、お帰りなさい、レイ。フィンランドは、どうでしたか?」

「ああ、3人の内1人にオファーを掛けた。その人はシンガポールではなく、ここパースに来る。書類が着いたらよろしく。」

「ワオッ! ドクターが1人増えるのですね。嬉しいっ」

「3年契約だ」

「はい、分かりました」

今度はフィルだ。

「室長は、ここでも健在ですね」

「フィル、その呼び方は止めて貰おうかな」

「えー……。ったく、どいつもこいつも同じ事を言ってくれる」

 

「ところで、どうして2人がここに居るんだ?」

「コンピュータを自作してるんです」と、ウィルが。

「セキュリティアップしたのをね」と、フィルが。

 

「そうか。あ、そうだ。余分に買ったんだ、これを2人に。土産だ」

「ありがとうございます!」と、顔をほころばせた2人は作業を再開しだした。

 

私は、レイに王子から頂いた書類を見せた。

「レイ、これを見て下さい」

「これは?」

「地下に、トンネルがあるのをご存知ですか?」

「トンネル?」

知らないみたいなので、そのままレイを地下に連れて行くと、王子とエドワード様が何やらしてる。

レイも一緒に話に加わり、そのトンネルをシェルターにする事に決めた。

 

「ところで、ジョン」

「ちょっと待って下さいね」とレイに断りを入れて、私はマークに言う。

「マーク。そこが終わったら、今度はこっちだからね」

 

レイはマークに近寄ってる。

「マーク、お前は何をしてるんだ?」

「あ、レイ。パスポートの更新で帰って来たんだ」

「それは分かる」

「んー……。俺、ジョンには頭が上がらなくて。酔っぱらって家具を壊したんだ。ゴメンね」

「なるほど。で、掃除に片付けか」

「本当にゴメンねー」

「まあ、ジョンはそういう奴だからな……」

兄弟の会話は、そこで終わった。

 

結局、あの後、マークと交渉したんだよね。

フィルとウィルが、ミハエルをこんな姿にしたのは自分達だ。次はお前の番だ、と。

長剣を持ったままのフィルと短剣を持ったままのウィルが詰め寄り脅していた。まだ長剣には血がこびり付いており、短剣にはピアス付きの耳が残っており、それを見たマークは一変した。

土下座をして何度も何度も、私に謝ってきた。

だから、私はマークに持ち掛けたんだ。

「ミハエルの壊したものを片付けて掃除をする事」と。

そして、もう一つ。

「私は、レイと暮らしてる。レイに、この事を言っても良い?」

「この事って?」

「寝てたとはいえ、私は君に犯された」

「言いたければ」

「へー、言っても良いんだ?」

ウィルが口を挟んできた。

「マーク、言っておくけどレイは凄いヤキモチ焼きで、嫉妬深いんだよ」

「それが?」

「私は、レイがオーナーをしている病院で彼の秘書をしている。だから」

「ウィルは黙ってて!」

「ジョンは、言う気無いでしょ?」

「あるよっ! あのね、マーク。私は、レイのこ……、こ……、こ……」

溜息付きながら、ウィルが挟んでくる。

「なんで、そこで止まるかね。レイとジョンはね」

「あー! もう黙ってて。マーク、私はレイが好きなんだっ。で、恋人なんだっ!」

そこまで一気に言った。

マークはというと驚いてる。

「へ? レイ、と?」

「そうだよっ。だから、好きあって、エッ、エッチしてるんだ……」

 

そう言うと、マークは倒れた。

「え、なんで?」

「オーバーヒートしたみたいだね」

すると、フィルがマークを起こし脅していた。

「私やウィルは剣使いで、右に出る者は居ない。だが、ジョンは違う物で相手を倒す。それは、口だ。なにしろ口が達者で頑固だからな。あいつを泣かせる奴は誰であろうと、許さない。あの世に行きたいか? なら、直ぐにでも行かせてやる」

 

「フィル。どっちが口が達者で頑固なんだよ」と言って、1階に突き落としてやった。

身が軽いから宙返りとかして1階に着地するだろう。

そう思っていた。

「うわっ、なんだこりゃ……」

突き落とした直後に、フィルの声が聞こえた。

階段の手摺りに寄ると、フィルが宙返りをしようとしてたのだろう恰好で、ミノムシ状態になり宙ぶらりんになっていた。

「あー……。ごめん、トラップの種類を変えてたのを忘れてた」

 

でも、マークは私を見る目が、顔が変わってきた。

「ごめんなさい。本当に御免なさい。俺をこき使ってください」

 

そして、マークは昨日から屋敷内の掃除をし出して現在に至る。

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