可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 1

「も、もう……だ。め」

「ま、だ……」

中を擦られ、快楽に襲われる。

「あ、や、ん」

「ゆ……、す、け」

 

激しく突かれる。

「あ、あふ……」

「きつい……」

もう駄目だ、さっきから意識が朦朧としている。

「何が……」

「どうして感じるかねぇ。しかもキツいし」

その言葉に、目を瞠る。

「え?」

潤んだ瞳と蒸気した頬で見つめられる。本当に、こいつは可愛いな。あの頃は、ここまでの関係になるとは思っても無かった。

動きが止まった悟さんに訝し気な目を向ける。

「悟さん、どうしたの?」

そう問いかけると、ぎゅっと抱きしめられた。60歳を超えてるとは思えないほどの筋力と逞しさだ。さすが道場で教えてるだけある。

抱きしめられながら優介は、幼稚園の年長さんだった頃、父親が死んだのを機に、実家から『御』が健在だったあの家に迎えられたのを思い出していた。

忘れられない、あの日。友兄と一緒に、あの家に行った。

「悟さん、俺、ずっとくっ付いてるからね」

何気ない一言に、悟は気が付いた。

「あの天然な奴は、いつまで経っても天然だよな」

「どういう意味だよ」

「あれから40年経っても世間知らずで擦れてないんだからな……」

その言葉にムカついたので俺は言ってやった。

「悟さんは苦労知らずなんだから、勉強になるでしょ」

「世界遺産的な天然記念人物が、何を偉そうに言ってるんだよ」

笑いながら即答された、その言葉にも腹が立った。

「何を言ってるの? 俺は、そこまで偉くないよ」

悟さんは溜息を吐いていた。

「本当に、お前は……可愛いよな」

「悟さん?」

苦笑しながら言ってくる。

「良いから。黙っていて」

「悟さん……」

「お前は、俺の……なんだから」

「ん……」

ねえ、今は”俺の”と言ったの? そうすると悟さんは寝ちゃうの? 意識を手放して寝ちゃうのかな。悟さんの重みが加わる。

「あ……」

「ゆ、すけ……」

「おやすみなさい」

「ん……、やすみ」

そこで悟は気がついた。

「こら待て、まだ寝るな。腹痛起こして人を起こしといて、自分は寝る気か? 優介、寝るなー!」

完全に寝てしまったその寝顔を見ると思い出す。あの頃、私たちの家に優介が来た時の事を。悟は昔に思いを馳せていた。

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