可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 12

悟さんの部屋に入るのはいつぶりだろうと思っていたら、いきなり言われた。

「優介、セーラー服着るのか?」

「着ないよ」

「うん、それなら良いんだ。何となく気になってね」

その言葉に、俺は言いきった。

「悟さん、俺はそんな変態な事はしないよ」

「いや、あの先輩の事が気になって」

「もしかして、悟さんの好みのタイプなの?」

「は? いや違う」

その表情と声で分かったので、安心した。

「悟さん、俺はセーラー服なんて着ないし、変態でもないよ」

「うん」

「でも、俺は悟さんが、皆が好きなんだ」

「うん」

「俺は、この家の子ではないけど、皆が好きなんだ」

「うん」

「俺は、ほ」

抱きしめられた。

「さ、さと」

「いいから目を瞑って」

「その前に良いですか?」

「何?」

息を吸ってはっきり言う。

「俺は、悟さんが好きです」

「優介……」

「俺は、色んな意味で悟さんの事が好き」

(悟さんは、どう思ってるの?)なんて言葉は口に出さなかった。

いきなりこう聞かれた。

「キスした事ある?」

「ハグされた時はキスされている」

「プライベートでだよ」

「え、プライ……って、ないです。だって、唇だけは本当に好きな人の為にとっとくんだよと言われてるから、守ってる」

「唇と最後の砦だけは守るんだ」

「砦って何?」

ここだよ、と言って悟さんはお尻を触ってくる。

「ひゃっ……」

クスッと微笑んだ悟さんは虐めっ子の口調になった。

「なんて声出してるんだ」

「だって、だって……」

さわさわと撫で回してくる悟さんの手は温かく気持ちが良い。真面目な口調で悟さんは言ってきた。

「優介、相手が男か女かは問題ではない。自分の身体を触らせて良いかどうかだ」

勇気を出して聞いてみた。

「悟さんは触りたい?」

悟さんの目が険しくなったので、慌てて付け加えた。

「俺は悟さんになら触られたい」

「優介……」

「悟さんが、そういう意味で好きだから」

悟さんの手は止まったが、まだお尻に触れている。

「本当はね、今日来てくれたのが嬉しかったんだ。あと、手を繋いでくれたのも。昌平さんは笑い転げていたけど、俺は悟さんと一緒に座って食べてるのがデートみたいで嬉しかったんだ」

「マセガキが」

「小学5年生ってマセガキだよ」

今度は思いっきり抱きしめられ、耳元で囁かれる。

「それ以上言うとエッチするぞ」

「悟さんとなら良いよ」

先輩に身体を押し付けられてきた時は嫌だったけど、悟さんだと違う。もっと触れて欲しい。こうやって抱きしめられたい。

「俺ね、ファーストキスは悟さんとする、と決めていたんだ」

「ゆうす」

背伸びして唇を触れてやるが顎の下までしか届かない。

「んー……、悟さん背が高過ぎ」

「横になると関係ない」

「横?」

するとベッドに押し付けられた。

「横って、もしかして」

「覚悟出来てるんだろうな」

だけど俺は言っていた。

「まだ悟さんの気持ち聞いてないよ」

俺だけ喋っていたんだ、悟さんの気持ちなんて知らない。教えて、悟さん。

にほんブログ村 ベンチャーブログ 女性起業家へ
にほんブログ村

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。