可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 16

いや、本当にお腹が一杯なんだけど。昌平さんはサンドイッチしか出来ないかもと呟いてる。だから言っていた。

「昌平さん、本当にご飯は食べたから」

「本当に?」

「売れ残りのお握りと焼きうどんと菓子パンを買ったので、それを食べたんです」

「もっと栄養のある物を食べないと」

「でも、お腹一杯で入らない……」

それでも昌平さんはゴソゴソと探している。そんな時、悟さんが「リビングに置いとく」と声を掛けてきた。え、嘘だろ。こんな時間にデザートタイムになるのか、せっかく歯磨きしたのに。

「トマトとキュウリしか無いや……。シンプルなサラダしか出来ない」

「シンプルが良いです」

「そうなの?」

「はい、何も付けずに食べれるから」

「ほいほ」

そこで昌平さんは気が付いたのだろう。

「あー、なるほどね……、だから、お握りに焼きうどんか」

何を思ったのか昌平さんは頭を撫でてくる。

「だから、朝ごはんのバイキングは食パンとか玉子焼きとかの簡単な物で済ますんだな」

バレたみたいだ。でも、朝ご飯は果物をたっぷりと食べてるので、給食の時間までにもつんだ。悟さんの声が聞こえてくる。

「早く来いよ。ほら、優介のジュースも持って来てやったぞ」

「悟さん、ありがとうございます」

昌平さんも会話に入ってくる。

「えー、なに優ちゃんだけ? 私のは?」

「クレープ食べるんだろ」

「飲み物が欲しい……」

「……」

「悟? お兄ちゃんは飲み物が欲しいな」

もう駄目。その2人のやり取りを見ていたら笑いがこみ上げてくる。思わず声にでていた。

「そこの笑い虫の笑いを止めといてくれ」

「飲み物……」

「だから、そいつの笑いを止めろって言ってるんだ」

悟さんの、その言葉の意味が分かった昌平さんは、俺の笑いを止めようとしているのか。こう言ってくる。

「はいはーい。優ちゃん、笑いたい時は思いっきり笑えば良いんだよ」

すると違う声が聞こえてきた。

「何を、こんな時間に煩くしてるんだ」

「あ、隆星さん」

「お、止まった」

隆星さんに言っていた。

「遅い時間に帰ってきたので、ただいまの挨拶をせずにごめんなさい」

「お帰り。で、昌平は何してるんだ?」

「優ちゃんの晩ご飯作ってる」

その言葉に隆星さんは俺に聞いてくる。

「まだ食べてないのか?」

「え、いや食べたからって……、昌平さんっ」

「やっぱりトマトとキュウリだけでは味気ないよねえ」

その言葉に隆星さんは手に持っていた物を見せてくれた。

「ポテトサラダがあるぞ」

「お、さすが隆星。優ちゃんからクレープとシュークリームを貰ったんだ。皆で食べよ」

「こんな時間に、そんな物を食べると太るぞ」

「気にしない、気にしない」

そんな時、悟さんの声が聞こえてきた。

「お待たせ」

「悟、ありがとー」

溜息吐いた悟さんは呟いていた。

「やっぱりな、もう1人増えると思ってたんだ。持って来て良かったよ」

隆星さんは夕食は会食があり参加していたらしく、ポテトサラダと唐揚げが用意されていたみたいだが唐揚げを食べてポテトサラダは食べずに台所に返しに来たと言ってくれた。

その隆星さんに断りの言葉が見つからず、結局ポテトサラダにトマトとキュウリを付けての野菜サラダを食べる事になった。

お腹一杯で入らないんだけど、どうしようかな。

でも、こんな雰囲気だなんて嬉しい。嫌味ではなく、本当に嬉しいんだ。食堂で食べるよりも気分が違う。なんて言うか、仄々してるって感じだ。

昌平さんが声を掛けてくれる。

「このクレープは、高等部の?」

「いえ、中等部のです」

「美味しいー」

隆星さんも、結局食べている。

「へえ、甘過ぎないシュークリームだな」

「ありがとうございます。それは俺の家庭科部のシュークリームなんです」

「優介君が焼いたの?」

「はい、そうです」

「美味しいね」

「ありがとうございます」

悟さんは嬉しそうだ。

「クレープもそうだけど、シュークリームも食べれて嬉しい」

長兄の昌平さんが口を挟んできた。

「あ、なに2つも食べているんだ?」

「優介がサラダ食べるから2つとも食べて下さいって言ってきたんだ」

「えー、なにそれ」

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