可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 24

夕食を食べ終わると、昌平さんから声を掛けられた。

「優ちゃん、ちょっと良い?」

「はい、良いですよ」

こっち来てと言われ、昌平さんの後を付いてリビングに入っていった。そこには『御』と隆星さんが既に食後の飲み物を飲んでいた。

「お、お邪魔します」

「緊張しなくて良いから」

「でも」

「あのね、これを優ちゃんにプレゼントしたいんだ」

そう言って、昌平さんは大きな箱を押し付けてきた。その箱を見れば何が入ってるのかは一目瞭然だ。

「あの、これって……」

「昨日のパンとクッキー美味しかったから、今度は家で焼いて欲しくて」

「い、いや、ここで焼いてくれてるパンやおか」

だが、昌平さんに遮られた。

「ううん、優ちゃんの手作りが良いんだ」

「え?」

何をどう言えば良いのか分からなかった俺は、言っていた。

「キッチンには入らない様にと言われてるから」

「大丈夫だよ」

「本当に大丈夫なんですか?」

「うん、本当に大丈夫だよ」

「本当に、本当に大丈夫なんですか?」

すると昌平さんは笑いながら、ありえない事を言ってきた。

「離れがあるから。そこを使えば良いよ」

その言葉に驚き、何も答えられなかった。

「ああ、鯉の居る離れか」と言う『御』の声と、

「泣き虫君の唯一の憩いの場を取ってどうするんだ」と隆星さんの声。

いや、そうだけど……。いや違う、隆星さんの意地悪。そうしてたら、昌平さんは爆弾発言をしてきた。

「何なら、離れで暮らせば良い」

その言葉に驚いたのは俺だけでは無かった。まるで心の中を見透かされているみたいだ。驚いて何も言えない3人を無視して昌平さんは話を進めていく。

「あそこって誰も住んでないから掃除からしていかないと駄目なんだよな。家具もそうだけど、電化製品もなくて、台所はあるけど物が無いからなあ。

あ、そうだ。優ちゃん、明日も学校、休みでしょ。掃除しといてくれる?

で、この週末は家具とか色々と買いに行こう。皆もそれでOKだよね。でもって、週末は優ちゃんの手料理ね」

その最後の言葉で我に返った俺は聞き返していた。

「待って、昌平さん」

「何?」

「週末は、誰の手料理ですって?」

何言ってるの、当たり前でしょという顔して昌平さんは言ってきた。

「もちろん、優ちゃんの手料理だよ」

「ええっ」

練習しといてね、と言われてしまった。

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