可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 27

俺は不動産屋の営業さんみたいに、案内していた。

「玄関入って右が洗面台で、隣がトイレ」

「へえ、水洗か」

「で、奥に一部屋があって、ベランダもあるんだ」

「広いな」

「庭があって、池ね」

悟さんは笑ってくれる。

「なに、どうしたの?」

「いや、なりきりの不動産屋さん、次はどんな部屋ですか?」

あ、悟さんも思ってくれてたんだ。そう思うと嬉しくなり、説明していった。

「この部屋の隣に、キッチン台が動く、移動式のキッチンです」

「へえ、これは便利だな」

「で、この奥が一番広い部屋です」

「これは、また……、広過ぎな気もするな」

「そして、隣の部屋」

「ふむ」

「そして、こちらがお風呂場です」

「へえ、2人で入っても十分な広さだな」

その言葉に真っ赤になってしまった。

「平屋だが、ん……、ここは何だ?」

「あ、ここは駐輪場?みたいなスペースです」

お風呂場と収納入れの間に挟まれた所。駐輪場って言った、優介の言葉。開けて見ると、分かった。ここは昌平が使ってた家だ。

「バイク、カッコイイでしょ? そのバイクも埃まみれだったんだ」

その埃がなく黒色が綺麗に艶を持ちピカピカになっているのを見ると、顔が綻ぶ。

「このバイクは、私が乗っていたバイクだよ」

「悟さんの?」

「今は無理だけど、その内に乗せてやる。バイクでドライブを楽しみにしてろ」

「嬉しい。楽しみにしてますっ」

バイクでドライブ。その言葉がすっごく嬉しくなって聞いていた。

「で、どの部屋が良いですか?」

「この奥の広すぎる部屋は寝室にする。で、その隣の部屋を書斎にする」

「はい。じゃ、俺は台所の近くの部屋ですね。日当りの良い部屋を貰った」

「良いか、優介。寝室は奥だからな」

「はい。ベッドを買わないとね」

「そうだな。キングサイズにするか」

「いくらなんでも大きすぎだと」

「2人で寝るんだからキングで丁度良いと思うが」

「は? 今何て……、2人で寝る?」

「さっきから言ってるだろ。奥は寝室だと」

「悟さんの寝室だとばかり思ってた」

「お前は何処で寝るつもりだったんだ?」

俺は言っていた。

「だって、あんなにも広いとダブルサイズ入れても十分に」

だが、遮られた。

「一緒に寝る。良いなっ」

デコピンされたが、そんなにも痛くなかった。だから、その言葉にニヤケてしまった。

「はいっ」

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