可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 32

一緒に暮らして2ヶ月経った。俺は朝食と夕食作りに張り切っていた。朝食はまだ良いが、問題は夕食だ。なにしろレパートリーが少ないので、どうしようと悩んでいたらレシピ本を見ながら作れば良いんだと思い付き学校の図書室で料理本を数冊借りることにした。

食材を買わないといけない。悟さんが食費としてお金を渡してくれるので、そのお金で買っている。高校に入ったらバイトしないといけないな、なんて事を考えていた。

そんなある日。夕食後、悟さんはいきなり言ってきた。

「優介、私はアメリカの病院に3年間行く事になった」

「え、アメリカ?」

「母親がアメリカで病院を経営してるんだ。その病院に行く。3年間、待っててくれないか?」

「母親……」

「生みの方だ」

「そう、悟さんのお母さんって生きてるんだね。良いよ、しっかりお母さんに甘えて来てね」

「優介、私は仕事で行くんだ。遊びに行くんではない」

すると悟さんの口調が変わった。

「ところで優介、これはケーキだよな」

「え?」

振り返ると、探していた物がテーブルの上に置かれてある。

「あー、さっきから探してた物」

「そういえばゴソゴソしてるなって思ってたのだが、探してたのか。食べよう」

「悟さん、あのね」

だが、悟は開けていた。

「え、これって……、優介、もしかして」

「あ、あー、勝手に開けないで」

「もしかして、今日って誕生日だったのか。だから夕食が御馳走だったのか。悪い、プレゼント買ってない」

その言葉に即答していた。

「プレゼントは要らないよ」

「どうして?」

「俺と一緒に居てくれるだけで良いんだ」

「でも」

「あのね、欲しい物があるの」

「何が欲しい? 言ってごらん」

その言葉に、息を吸って一気に言っていた。

「悟さんが欲しい」

「どういう意味?」

「分かるでしょ?」

と言って、手に持ってる物を見せてやる。それを見て分かったのか、悟さんは笑い出した。

「何で笑うかなあ」

「そういう事か。それじゃ、風呂から出た後だな」

本当に分かったのだろうかと疑問に思いながら聞いていた。

「なんで、風呂から?」

「プレゼントという物は、人に見せびらかす物では無いからな。それに、優介が欲しがってる物は寝る前に貰うと、お互いが嬉しいものだ」

俺は想像していた。

「たしかに、それもそうだね」

「だから、風呂から出た後な」

「絶対だよ」

「ああ、約束する」

にほんブログ村 ベンチャーブログ 女性起業家へ
にほんブログ村 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。