可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 35 一日遅れの誕生日

学校から帰宅すると、何を着ようかとクローゼットの中身と格闘していた。

だって、悟さんの事だからラフな服装と言っても、それなりの服装をして行った方が良いだろう。だから、ジーパンではなくチノパンにして、上はセーターにした。仕上げにジャケットを羽織る。

鏡の前でくるっと一回りして、自分の服装をチェックしていく。靴は登校用の靴かスニーカーしかない。完璧になれないのは仕方ないかあ。待合場所の病院には10分前に着いた。

「優介、こっち」

「お待たせしてすみません」

「まだ10分あるよ」

やっぱり、スーツ姿の悟さんはカッコ良いな。その悟さんは近くのレストランに入っていこうとしている。

ファミリーレストランで食事なのか。どうしたのだろう、レストランでも最低でも三ツ星に行く筈なのに。あ、でもファミリーレストランだと気持ち的に違うものがある。もしかして、そういう事まで考えての選択先なのかもしれないな。

悟さんはウェイターに声を掛けると、個室に案内された。

「それじゃ、よろしく」

「畏まりました」

食事が運ばれるまで何を話そうと身構えていたら悟さんから声が掛かった。

「一日遅れで悪いが、誕生日おめでとう」

「あ、ありがとうございます」

「これは誕生日プレゼントだよ」

「プレゼントは昨日貰ったのに」

「贈りたいんだ。受け取って」

「ありがとうございます」

「それに、お前は何もせずに人の身体に乗っかって寝てただけだろ」

「あー、そうでした。ごめんなさい。開けて見ても良いですか?」

「どうぞ」

ガサガサと包みを開けると、箱入りに驚いた。蓋を開けると、中は腕時計とボールペンとシャープペンシルが入っている。

「悟さん、これ」

「誕生日プレゼントだよ。おめでとう」

「ありがとうございます。あ、あの」

「これから必要になるよ。身に付けて欲しい」

「嬉しい、ありがとうございます」

すると、ノックが聞こえ扉が開くと食事が運ばれて来た。

「失礼致します」

並べられた食事は、どれも美味しそうだ。しかも、本宅の食事には出ないメニューばかりだ。温野菜スープをはじめ、ハンバーグや唐揚げ、ポテトサラダに煮しめ、スパゲッティはミートソースとシーフードの2種類だ。

ウェイターから「主食はどちらにされますか?」と聞かれ、悟さんは白米2号炊きと焼きお握りをお願いした。

食べきれるのだろうか。しかも、『11歳の誕生日おめでとう!』とロゴ入りのケーキもある。思わず言っていた。

「ケーキまである」

「遠慮せずに、食べて」

「嬉しい。悟さん、ありがとうございます。アメリカから戻ってくるまでには食事のレパートリー増やしておきますね」

「行くのは来年だ」

「来年……」

「夏に行く。3年間居ないが、私が居なくても昌平や皆が居る。優介。お前は1人では無いんだよ」

「ありがとう」

涙が出た。その涙を拭き取るかのように目の下を舐められキスされる。うわ、恥ずかしい。これ、個室だから出来る事だよね。悟さんって、大胆なとこあるよなあ。

結局、ケーキは持ち帰りにしてもらい料理は食べきった。美味しかった。ご馳走様でした。

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