可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 36 再会

1ヶ月後の12月はクリスマスだが、『御』のバースディパーティーがある。

昨年までは毎年のように参加していた。友兄に会えるからだ。でも、今年は無理だ。なにしろ、学校の模擬試験の最中だから。でも『御』には、誕生日当日である昨日のうちにプレゼントを渡し、お祝いの言葉を掛け参加出来ないと断った。

「息抜きに30分でもいいから、お出で」

と言われた。

分かっている。離れで暮らす様になって顔を見せないから、そう言ってくれるって事を。

きちんとご飯を食べてるのかどうかも気にしてくれているのだろう。なによりも着る服が無い。昨年とは違い背も伸びサイズが2サイズ大きくなった。制服の学ランもピチピチでギリギリなのだ。あと1年もってくれるかなあ。

ただ、カーテンを縫う時に色んな生地を反物で、あれもこれもと何も見ずに買ってくれたので、縫えば服はある。それに毛糸も入っていたので、今はセーターを編み中だ。こういう器用さが自分にあるので、大いに助かっている。

だが、制服だけはどうにもならない。スーツを着てビシッ!となっている所に着ていけるのは制服しかない。

寝室に置いてある悟さんのクローゼットを開けて見る。色んなスーツが掛かっているので、そのうちの1着を手に取り、上着に袖を通す。

着心地は良いが、袖が長い。ズボンを穿いてみたが、これまた丈が長い。

駄目だな。やはり今年はパスだな。縫えばいいのだが、さすがにこの生地は持ってない。勉強もしないといけないし、既に不参加だと伝えている。

ふいにチャイムが鳴った。

ピンポーン……。

誰だろう。チャイムを鳴らす人って、隆星さんしか思い浮かばない。もしかして、やっぱり行こうよと迎えに来てくれたのだろうか。

ピンポーン……。

また鳴った。玄関口まで行くと、声を掛ける。

「だ、誰ですか?」

「お、当たりだ。優介、今年は参加しないのか?」

その声は……と思うと、ドアを開けていた。

「友兄っ」

「今年は不参加か?」

「試験で勉強中なんだ。あ、でも『御』には昨日のうちに言ったよ」

「勉強も良いが、息抜きも必要だぞ」

「皆して同じ事を言ってくれるねえ」

わははっと友兄は笑ってくれる、その笑顔が見れて嬉しかった。

「友兄、入って」

「お邪魔します」

「どうぞ」

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