可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 46

その途端、眩しい位の電気が灯った。

「まぶっ……」

「そこで何をやってるっ」

先生が、その人の側に近寄り何かを話している。その電気の明るさに慣れた頃、優介は先程の笑い声の持ち主に気が付いた。

「あれ、たしか同じクラスの……。誰だっけ?」

その人は近寄ってきた。

「岡崎徹。そろそろ名前覚えてよね」

「ごめんなさい、岡崎君」

「徹で良いよ」

「え、と、とおる……」

「うん、徹って呼んで。優介って呼んでも良い?」

「う、うん、良いよ」

「ありがと」

にっこり微笑んた徹は言ってきた。

「家庭科部って聞いていたのだけど、やっぱり強いよねえ。家庭科部って大人しくて優しいイメージが強いのだけど、やっぱりうちの高校は猛者だ。そのギャップが堪らないね」

「そっちこそギャップ大き過ぎだろ」

「そう?」

「バイオリン奏でてる時と空手やってる時って、雰囲気がまるっきり違う」

「まあ、髪を上げてるか下ろしてるかのどっちかだけどね」

「そうなの?」

「どんな風に見えてるの?」

「バイオリンの時はツンとしてクールな澄まし顔で、空手の時はやんちゃ坊主」

あはははっと豪快に笑われてしまった。

「優介に言われてしまったかあ」

話し終わったのか、先生はこっちに戻ってきた。

「父親が呼んでるぞ」

「はい。それじゃ、また学校で」

「うん」

先生は皆を集めると話し始めた。

「ここは、さっきの岡崎徹の物だ。だから彼の父親である道場主も快諾して、使わせてくれてるんだ。斎藤に突っかかっていた奴は従兄なんだが、ついさっき破門された」

「ええっ、それじゃ」

「まあ、来週からは文化祭に向けての準備だから10月までは宿泊部活ないからな」

「安心ですね」

だが、先生は何も答えない。

「先生?」

「何も言ってこないんだな……」

「え、何の事ですか」

「荒川。部長である、お前が真っ先に禁蹴りしたよな」

「え、あれ……、バレてた?」

「全く、お前等はあ……」

拳をぶるぶると震わせながら、先生は部長に言っているので、残りの部員はテントへと向かった。

「まあ、相手に怪我を負わせることも無かったのだから良しですよ」

「部長が、それ言ってどうするっ」

「まあまあ、部長だから言えるものですよ」

「あーらーかーわー」

荒川と呼ばれた部長はクスッと笑って言ってやる。

「顔が近いですよ」

「お前はー」

「それじゃ、お休みなさい。幸雄さん」

チュッと軽く唇に触れてやると、相手は黙ったので言いたい事を言っていた。

「なんで2年生のテントに行くんだよ」

「仕方ないだろ。お前の寝顔を見てるとムラムラするんだから」

「あと1年もすれば、もう先生と生徒の関係は終わる。長いよねえ……」

「全くだ」

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