可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 55 反抗期?

優介と徹の通っている学校は小中高の一貫校だが、大学は無い。

悟さんは郊外に住むつもりなので、その近くの大学を選んだ。流石に東響大学は無理だから、近くにある私立学園の大学にするか、一般の私立大学のどちらかになる。でも、私立学園には寄付金というのが必要みたいなので、一般の私立大学にした。

悟さんに勉強を教えてもらい、俺は大学に合格した。その大学を受験するにあたり戸籍等の住民票関係が必要だった。

その時、初めて知った。お父ちゃんの家の事、お母ちゃんの事。そして、親戚の事。

まさか、自分が財閥界の人間の血筋だとは思いもしなかったのだ。皆は知っているのだろうかと思い、悟さんを連れて久しぶりに本宅に顔を出した。

「優ちゃん、どうしたの?」

「昌平さん、聞きたい事があるのだけど、時間良いですか?」

「うん、良いよ」

「皆も居ますか?」

「食後の一時をリビングで過ごしてるよ」

リビングに向かうと、皆が声を掛けてくれた。挨拶を返すと、持って来た封書を見せて聞いてみた。その返事は、こうだった。

「だからと言って、ここにいる事を許したわけでは無い」と『御』の言葉に、

「優ちゃんが可愛かったから」とは昌平さんの言葉だ。

「優介君が、あの斎藤財閥の御曹司だと分かっていたから許したんだ」と返してくれたのは隆星さんだった。

「悟さんは?」

「知ってた」

「知ってて、俺を……」

(好きになったのはどうして? 俺が、斎藤財閥の人間だから落とそうとしてエッチしたの? どうしてなの)そう言いたかったのに、言えなかった。

なんて言えば良いのか分からない俺に、悟さんは言ってきた。

「いいか、優介。私は」

「悟さんのバカッ!」

「優介っ」

悟さんは俺を担ぎ上げようとしてくるが、そんな事はさせない。そうやって俺にエッチして大人しくさせようという魂胆だろ。お見通しなんだよ。

「嫌だ、離せっ! そうやって……、そうやって毎回、俺が大人しくなると思うなっ」

昌平さんの声が聞こえてくる。

「あのさ、喧嘩は離れでやってくれる?」

「何で? 知ってたのなら、何で話してくれなかったの? 昌平さん、なんで」

「ほら、優介戻るぞ」

「嫌だ、まだ聞いてない」

「良いから」

「嫌だ、下ろせよっ。まだ、隆星さんの方が誠実で良い。なんで、誰も言ってくれなかったんだ。信じてたのに……。悟さんのバカ、アホ、キツネ野郎ー」

リビングからエントランスに向かってる間、ずっと叫んでいた。その叫び声に、昌平は笑っていた。

「あははっ、悟が狐だって」

「的確な言葉だな」

「そっかあ、誰も優ちゃんに話してなかったのか」

「聞いてくることも無かったからな」

昌平は父に聞いていた。

「お父さん、どうします?」

「大学に通いだして余裕が出来た頃に、ゆっくりと話した方が良いかもな」

次男の隆星は口を挟んできた。

「一人暮らしさせたら?」

「その前に、優ちゃんがグレるかどうかだな……」

「そういえば、悟もグレて暴走族に入ったからなあ」

その言葉に付け足す様に父も口を挟んできた。

「一番最初にグレて暴走族を立ち上げたのは、どこの誰だったかなあ」

「それ、言わないで下さいよー」

弟の隆星が締めてくれる。

「まあ、昌平でも悩んでグレたほどだ。優介君がどうなるかは、悟の出方次第だな」

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