可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 63 悟視点 オーストラリア、パースにて

ボスと優介の話が終わったのか、泣き虫優介は笑顔になっている。再度メールしていた。

”忙しいのに悪かった”

間を置かずに返信が着た。

”あれで良かったのか? でも、楽しかったよ。ありがとう”

”何を話したのか気になるが、でもご機嫌になってる。助かったよ”

”あいつは頑固だからな”

”たしかに。それじゃ”

そこで切れると思った悟は、ボスからの返信に毒づいていた。こう書かれてあったのだ。

”『本当はオーストラリアに行きたいのだけど、悟さんは頑固だから譲歩してあげる。俺は大人だから折れてあげるよ。でも、次回からは行くからね』って、言ってたぞ”

「どっちが頑固なんだよ。そう言ってる方が子どもだろうが」

なんか負けた感がして嫌なんだけど。しかも私のお気に入りのお茶を丸々1本飲んで空にしてくれてるし。

それでも、無事にオーストラリアに行くことが出来て安心した悟だった。

シンガポールで下りると、パース行きの直行便に乗れたのでラッキーだった。パースに着くと、真っ先にクリニックへと向かった。アポ取って無いやと思ってたら、懐かしい顔が庭にいるのを見つけた。

「カズキ、なのか?」

「うん?」

いきなり声を掛けられ振り向いた人物は、驚きの声を上げた。

「おー、久しぶりだなあ」

「久しぶり、元気そうだな」

「そっちこそ」

「喫茶に行くか?」

「そうだな。何か飲むかな」

2人で喫茶に行くと、ワンが居た。

「誰かと思えば……、益々、迫力が付いたな」

「そうだろ。元気そうだな。無事に来れたみたいだな」

「ああ、シンガポールから直行便のに乗れたんだ」

「違う」

「何が?」

「ボスとチャットしてただろ」

「ボスが話したのか?」

「なんだ、分からなかったのか?」

「何の事だ?」

「あのIDはボス本人ではなく、ここのセキュリティ室のチャットIDだ」

「は? え、って事は……」

ワンは、きっぱりと言ってきた。

「セキュリティ室には、私だけでなくユタカも居た」

「え、ちょっと待って……」

「ボスは楽しそうに話してたよ。優介君は可愛いねえ」

「うわー……」

「今度は、ボスのIDに直接繋ぐんだな」

するとユタカの声が聞こえてきた。

「 ”本当はオーストラリアに行きたいのだけど、悟さんは頑固だから譲歩してあげる。俺は大人だから折れてあげるよ。でも、次回からは行くからね” ”ああ、次は待ってるよ”って。本当に優介君は可愛いねえ」

その言葉は、優介がボスと話をしていた言葉だ。

「うーわー……」

「そんな子どもっぽい子に負けたサトルが飲んでる珈琲は、私が奢ってあげよう」

「くそぉ。今度は直接繋げてやる。ってか、直接のIDが分からない」

「そうか、あれは私のだからな」

「お前のかよ」

「そうだ。でないと、誰と、どんな話をしてるのか。また、相手を調べないといけないからな」

「もしかして、優介の事を」

「調べなくて良いと言われた」

「なる」

「何か調べられると困るのか?」

「いや、そうじゃない」

「なら、調べても良いのか。それな」

「あいつはボスの親友の忘れ形見だ」

「あの子が、そうなのか」

ワンが口を挟んできた。

「それだけじゃない。サトルと恋人となり同棲してるって話もしてた」

「ったく、もう……」

カズキは口笛を吹いてる。

「それは、それは、まあ……」

「別に良いだろ」

「サトルも、サメと一緒という事だ」

「あんなのと一緒にするな。私は優介一筋だ」

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