可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 68

友兄がどこかに行ったので、再度、悟さんに声を掛けると振り向いてくれたけれど、その女性を一目見ると驚きの顔をしていた。

「ス……、スーザン? なんで、ここに」

え、悟さんの知り合いなのか。それなら大丈夫なのかなと思ったけど、聞いていた。

「悟さん、知ってる人?」

「知ってるも何も……。ねえ、こいつとダンスしたいの?」

「え、だからそれを聞こうと思って」

悟さんは溜息付くと、こう言ってきた。

「そんな優柔不断じゃ駄目だよ。ダンスもそうだけど、スーザンと話をしないで」

それを聞いていたスーザンは、悟さんに向かって言ってる。

「サトル! 私を誰だと思ってるのっ」

そしたら、日本語が聞こえてきた。

「スーザン、ここでバラしても良いのかな?」

そう言われた方を振り向くと、何処からどう見ても日本男性の人が居た。その隙に、悟さんは俺の手を引っ張り他の場所へと移った。

暫らくすると、悟はスーザンと話をしていた。

「サトル。犯人は貴方でしょ。分かってるのよ!」

「何が?」

「10、いや12年前に1年半居て、何をしていたの?」

「12年前……。ああ、ドクターしてた頃だね」

「ドクターだけではないでしょ。全くアクセス出来ないのよ! あんたがダニーとグルなのは分かってるわよ」

「何かしたっけ?」

「コンピュータ室で何をしてたの?」

「思い出すのに時間掛かるんだけど」

「それに、さっきの子はどうしたの?」

「さっきって?」

「とぼけないで。タカと話し終わったら、あんたとさっきの子が居なくなってたのだから」

スーザンは睨み付けてる。

「ふーん。あんなのが、スーザンのタイプなんだ?」

「何言って」

「言っておくが、彼は私の恋人だ」

「えっ!」

「スーザンこそ、若い男を共にして来てるし。彼にも手を出してるんだろ。全く、その男好きの性格、どうにかならないかな? それに、誰に聞いて、ここに来たの?」

サトルは、自分が置き土産と称してセキュリティのプログラムを構築してパスワードを掛けていたのを、やっと思い出した。それは、簡単な言葉だった。

『Suzan has three childrens. Satoru,Jonney and Marry.』

 

「あ、居た。悟さん」

「楽しんでるかい?」

「さっき、友兄と話をしてきたよ」

「こら、友兄ではなく、”ドン”だよ」

「あ、そうでした」

悟さんは、壁際に寄りキスをしてきた。

「え、ちょっと。ん、ふっ……」

いつもの優しいキスではない。図々しく口の中に入ってくる悟さんの舌は荒々しいが、頬を挟んでる手は優しく添えられている。くちゅ、くちゅ、と音が響いてくる。もう、立ってられない。

悟さんのスーツジャケットを握り締める。お願い、悟さん。頭が変になりそうだ。足がガクガクとする。

悟は優介の状態だけでなく、他の人が居る事にも気付いていた。だから見せびらかすのもあり、優介を抱きしめ、そいつの前でしたのだ。涎が垂れ頬を紅潮させた優介を抱きしめ、そいつにポルトガル語で言ってやる。

「スーザンに言いたければ言えば良い。まあ、さっきスーザンには言ったけどな」

その若者がスーザンの息子であり、自分の異父弟だとは思っても無かったのだ。

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