可愛いと言わないで

可愛いと言わないで 9

いきなり大声が聞こえてきた。

「お、あったあった。家庭科室見つけたぞー。悟ー、優ちゃんの家庭科室って、ここだよー」

え、この声は昌平さん? うそ、もしかして来たの? そう思ってるとガラガラッと戸が開き、声が聞こえてきた。

「優ちゃん、居るー?」

「しょ、昌平さん」

先輩は舌打ちして離れて行った。

「え、何で……、来なくていいって言ったのに」

「いや、来たいよ。ところで優ちゃん」

「何ですか?」

昌平さんは俺の耳に手を当てて小声で言ってくる。

「チャック、開いてるよ」

「チャッ……?」

指で指し示された所に目を向けていく。するとズボンのチャックが全開だ。思わず叫んでいた。

「先輩、諦めたのではないのですかっ」

その先輩は、こんな事を返してくれた。

「あーあ……、完全に2人っきりになれないわねえ」

睨んでるのか、昌平さんは怖い顔をしている。それに、迫ってくる昌平さんの顔だけでなく、声も怖い。ボソッと囁いてくれる。

「学校では止めような」

何の事を言っているのか分からないが、こう言っていた。

「違うから、誤解だ」

「はいはい、そういう事にしといてやるよ。」

そう言うと、昌平さんはクッキーの詰め合わせとオレンジジュースを買ってくれた。その時、戸が開いて悟さんの声が聞こえてきた。

「優介の声ってデカいよな……」

「昌平さんが、あんな事を言うからです」

その昌平さんはクッキーを食べている。

「お、このクッキー美味い」

「ジュースも手作りなんですよ。悟さんもどうですか?」

「じゃあ、クッキー2袋と野菜ジュースで」

「ありがとうございます」

そんな時、チーン♪と可愛い音が聞こえてくると、先輩の声も聞こえてきた。

「あ、パンが焼けた」

「先輩、お願いして良いですか?」

「うん、良いよ。接客は頼むねー」

「はい」

すると昌平さんと悟さんの声が重なった。

「焼きたてのパン、食べたい」

「え、とぉ……、先輩、2つお願いします」

「はーい、2つで200円になります」

焼き立てパンを食べながら家庭科室に居座る昌平さんと悟さん。

「んー、ほっかほかで美味い」

「やっぱり焼きたてや作り立てが一番だな」

そんな時、他の部員が戻ってきた。

「ただいまー」

「先輩と優介君、お昼食べて来て良いよ」

その声に先輩は笑顔で応じている。

「お帰り―」

「お帰りなさい。もう少ししたら行ってきますね」

食べ終えてジュースも飲み終えた悟さんは声を掛けてきた。

「優介、一緒に見て回ろう」

先輩も何か言ってるみたいだ。

「優介君、一緒に行こか」

2人の声が重なったのか、俺には悟さんの声しか聞こえてなかった。

「昼休憩は1時間半なんだ」

「それじゃ、食べるのを先にするか」

後るでは、昌平さんが先輩に何か言ってるみたいだ。

「ごめんね」

「いえ、良いです」

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