君は腐れ縁であり運命の人

小学校6年生の始業式。

始業式が始まるホームルームの短時間に、担任は皆に挨拶をしろ、と言ってきた。

ガラッと先生がドアを開くと、ざわめきが廊下まで聞こえてくる。先生の号令で、ざわめきは止まる。

「はい、それでは起立。礼、着席。それでは、皆に転入生を紹介する。入っておいで。」

そう言われ、俺はドアを開けて入った。その途端、廊下を挟んだ向かいの教室から悲鳴に似たような声が上がった。

「おおおおおおっーーーー!」

「やったね。」

「美人じゃんっ」

「福山香織です。よろしくお願いします。」

その声を耳にした俺の担任は苦笑している。

「君の片割れは、えらく歓迎されてるねぇ。」

気を取り直して、俺も自己紹介する。

「福山友明です。よろしくお願いします。」

すると、俺の教室の隣の教室から、女子の悲鳴が聞こえてきた。

「きゃーーーーーーーーっ!」

「カッコイイ!!」

「先生よりも素敵っ」

その言葉に対し、怒り気味な声が聞こえてくる。

「福山優人です。よろしくお願いします。嫌いなものは、煩いものです。」

そう、香織は双子の姉で6年4組、優人は弟で5年4組、俺は、6年5組。

この小学校は、6年生だけ一クラス分人数が多い。だから、5年生の棟に一クラスだけくっ付けられている。

「それでは、取り敢えず空いてる席に座って。今日は始業式が終わると、直ぐに席替えするからな。」

そう言うと、担任は10分後、俺達を廊下に並ばせると体育館へと誘導していく。

始業式が終わり、教室に戻って来た俺達は早速席替えをする事になった。

それはジャンケンではなく、担任が作った席順に番号が書かれていて、あみだくじで当たった番号と照らし合わせて座るというものだった。

お蔭で、俺は窓側の一番後ろになった。

そして、俺の席の前には銀髪の外国人、隣には福山君。その福山君とは、数日前に引っ越しの挨拶をしに行った時に会ってたので、知ってる人が1人でも居て少し心強かった。

その福山君が声を掛けてくる。

「同じクラスになれて良かったね。これからよろしくね。」

「こちらこそ、よろしく」

ごめん、まだ名前を思い出せないでいるんだ。たしか、お隣の小児科の長男の福山なに君。

そして、外国人、いや本人曰くハーフだそうな、その男子は福山豊。

「本名は長いので、豊って呼んでね。友明、と呼んでも良いかな?」

見た目とは違い、チャラくも無いので俺は良いよ、と了承の返事をした。そして、その豊の隣には、俺の家のお向かいさんのバイク屋の福山君。

「同じクラスだねー。よろしくね。」

「よろしく。」

悪い、こっちも名前を思い出せない。引っ越しの挨拶に行ったのにな。

実は、俺は人見知りなんだ。だから、知っている人が居て心強く感じていても、一線を引いていた。

始業式の日が終わり、福山君2人が一緒に帰ろう、と声を掛けてくれたので有難かった。だって、迷子になりそうだなと思ってたから。なにしろ、行きは優人と一緒で、俺と香織は優人の後を付いて学校に行ってたからだ。

職員室まで一緒だったから、担任からは「3人揃って仲が良いんだね」と苦笑されたものだった。優人は、はっきりと言うタイプだから、その場で言われてしまった。

「先生、この2人はまだ道を覚えてないだけです。行きは一緒だからまだ良いけど、帰りが心配で。お姉ちゃん、お兄ちゃん大丈夫だよね?」

「優人、帰りも」

「パス!裕也と一緒に帰るから、2人とも頑張って帰ってね。」

裕也とは、お隣の福山君の弟だ。いつの間にか、弟は弟同士として友達になっていた。

お隣とお向かいの福山君に挟まれて家まで無事に帰れたのが嬉しくて、俺は家の中に入ると直ぐに泣いていた。もちろん、泣き場所は決まってる。自分の部屋だ。

もう、お母ちゃんに「抱っこー」と言える年齢では無いからな。

あの頃は、何も考えずに抱っこを強請って、お母ちゃんの温もりと子守唄を歌う歌声に癒されて泣きながら寝てたものだ。

目が覚めると、お腹が空いたので台所へ行くとテーブルには何も無い。あれ、皆はどうしたんだろうと思っていると、声を掛けられた。

「あら。友、やっと起きたのね。」

「ごめんなさい。疲れて寝てしまった。」

「香織と優人は食べ終わったし、友も食べるでしょ?温めるからね。」

お母ちゃんは冷蔵庫からラップを掛けた皿を出してレンジに入れようとしてる。

俺は言っていた。

「温めるだけなら、自分でするよ。お母ちゃんは座ってて、話がしたいの。」

そう言うと、俺は遅めの昼ご飯を食べながら、今日の事を話していた。

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