君は腐れ縁であり運命の人

10

「友明君、しっかり捕まってて。」

「大丈夫ですよ、須藤さん。あいつ等は福岡に住んでいた頃のクラスメイトだったから。はぁ……。せっかくこっち来ても、また一緒になるんだからな……」

「仲が良いって事だよね。それとも腐れ縁かな?」

「えー……」

まあ、色々とあったけど楽しかったよな。

一方、友明を乗せた車を追う形で銀髪碧眼の長身の男は、運転手に指示を出していた。

どうして、あいつはここに居るのだろう。福岡では無いのか?しかも答辞だし。国立だからと言っても、金にモノを言わせて来れるような学校では無い。

頭の出来だけでも来れない。身体能力や、色々と適正テストがあった筈だ。それをパスしないと無理なのに。合格点も高いんだぞ。それに、今日は一度も振り向いてくれなかった。

優三郎は、頑張って勉強して適正テストも何とか受かったみたいだ、と言ってたし。友、お前はどうだったのだろう。まあ、答えは『答辞』というので出てるけどな。にしても、あの車は何処に向かってるんだろう。

暫らく追っていたら運転手から声を掛けられた。

「豊様、撒かれてしまいました。申し訳ありませんでした。」

静かに溜息付いて運転手に、こう返す。

「別に良いよ。明日、学校で本人に聞くから。今日はドライブ出来て良かったよ。」

「その様に仰られると嬉しいです。それでは戻りますね。」

「ああ、よろしく。」

そう言うと、車は田園調布に向かって行った。

そう、豊は田園調布に一軒家を持っていたのだ。東京で何かのパーティやイベントとかあると、一々ホテルに泊まるよりは便利だからだ。

翌日、送ってくれた運転手に帰宅の時間を言うと、車から出て西門から校舎へ向かう。送迎車は、西門のみしか付けれないからだ。

友を乗せた車は、今朝は居ない。校舎の昇降口に入ろうとしていると、友は既に来ていて畑作業をしているのが目に飛び込んできた。ここに畑なんてあったのか?

友はブレザーを脱ぎカッターシャツを上から3つ目までボタンを外し袖を半分ほど捲り上げ、ネクタイを鉢巻代わりにして額に巻いてる。制服のスラックスも脱いで体操服の短パンを履いてる姿だった。

誰かが友を呼んでる。

「友ー。こっちに持って来て。」

「ちょい待って。お前ね、3年振りだからって、人使い荒いよなぁ。」

「3年じゃないだろう。6年生の時だったんだから……、4年振りだ。」

「分かってるよ。」

あの男は、この学校の理事長の息子。友と知り合いなのか。でも4年振りって……、そういえば友は東京から福岡に引っ越して転入してきたんだった。忘れてたよ。あの男とは、東京での友達だったのか。

それなら、昨日のあの車に乗り込んだのは、久しぶりの知人に会ったからか。そう考えると納得いく。だけど、本人から聞くまでは納得しないからな。友、お前が本心を見せるまで纏わりついてやるからな。

すると、予鈴が鳴った。

「あ、予鈴じゃん。早くしないと遅れるっ」

「お父ちゃんっ! じゃなかった、理事長、もう良いですか?」

「せめて、こっちの倉庫に入れて欲しいな。」

そう言われ、友と理事長の息子は理事長を睨んでる。

「あと10分しか無いのは分かってるだろっ」

「そうそう。それに、遅れると担任から説教食らいます。」

「友明君は身が軽いから、ピョンピョンと飛び跳ねて行けるだろう。それに、啓(けい)、お前は」

「俺は、友みたいな事は出来ないから。友、行くぞ。」

「ん。それでは理事長、失礼します。」

あっという間に着替え終わった2人は、理事長を畑に置いて昇降口に入って行った。

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