君は腐れ縁であり運命の人

14

いきなり大声が聞こえてくる。

「カッーート! カット、カット!!」

「ごめんなさい。申し訳ありませんっ」

なぜ友が謝るんだ。

「もう1回やり直しっ。回してなかったら良いけど、もう1回やったら、次は本撮りだからな!」

「はい。申し訳ありませんっ」

そして、再び友はあいつ等を睨み付けてる。その内に相手は銃を撃つ形に入ってるし、友は避けようとしてる。

危ない、友、そんなんじゃ当たる。それに、相手も相手だ。下手な撃ち方だし。それでも友は避けまくって、最後は片手で相手を殴ったり片足や両足を使って蹴ったりしてる。

「はーい、カット! それでは本撮りに入るぞ。用意して。」

「はい!」

すると、友もそうだが相手も何かを身に付けてる。相手は怪獣みたいな着ぐるみで、友は正義のヒーローの着ぐるみだ。面を被って、気合を入れてるのが分かる。

もしかして、これってバイトか?  いや、でもサービス系って言ってなかったか? まあ、確かにサービスと言えるようなものだけど、エンタメ系だぞ。

暫らく見てると、友はシュワッと空を飛んでいく。

少し経つと声が掛かる。

「はい! カッーート! お疲れさん。クランクアップですっ」

「1年間お疲れ様でしたっ。着ぐるみ仮面ライダー、クランクアップですっ」

「着ぐるみ仮面ライダー、どこに行った?」

その着ぐるみ仮面ライダーは走ってくる。

「お疲れ様でしたー。着ぐるみ仮面ライダー、只今参上!」

「面取ってるし……」

「お疲れ様でした!」

「お疲れ様でした。着ぐるみ君、君が居てくれて助かったよ。」

「いえいえ、俳優さんに怪我でもさせたら大事ですから。その為に、着ぐるみが要るんですよ。ね、監督さん?」

「そうだよ。最後は邪魔が入ったからどうしようと思ったけどな。」

「はい、これ。僕から着ぐるみ君に。1年間お世話になりました。」

「えっ、俺に? あ、ありがとうございます。こちらこそ、未熟者でどうなるかと不安でしたが、色々とありがとうございました。これからも、俳優業頑張って下さいね。応援してます」

「ありがとう。君も高校生をエンジョイしてね。」

「ありがとうございます。」

友のバイトが終わったのか?

誰かが友に小走りに駆け寄ると話しかけている。友のバイトの邪魔をした形になったので、謝らないといけないな。なので、友の側に寄ろうとしたら、誰かに腕を掴まれそうになる気配を感じたので避けてやる。

「友。さっきは悪かった。ごめんなさい。」

だが、友よりも先に誰かの声が聞こえた。

「どうやって入ってきたのかは分からないが、仕事の邪魔だ。どいて。」

「先程は申し訳ありませんでした。まさか、こういった仕事をされてるとは思っても無かったので、助けようとして。邪魔する気はありませんでした。本当に申し訳ありませんでした。」

「仕事だと分かっていたら、邪魔はしない?」

「はい。」

すると違う声が聞こえてくる。これは友の声だ。

「それなら、ここに居るスタッフ全員に謝るんだな。1テイクが大事な仕事なんだ。撮り直し、やり直しが重なると、時間も無くなるし次の仕事に差し支える。ね、須藤さん。」

「私が言いたかったのに……。まあ、友明君が言うのなら、今日は私は言わない事にします。だけど、次はないですからねっ!」

「はい、申し訳ありませんでした。」

友は、須藤さんと呼んでる人と一緒に行ってしまった。

ここに居るスタッフ全員に謝るのは当然だな。早とちりして邪魔をしてしまったのだから。当然ながら、その場に居る皆に謝った。

その翌日、学校に行くと、真っ先に友に謝った。

「状況判断の得意な奴が、何を見てたんだ? 人を尾行するのがそんなにも好きなら、ストーカーとして通報してやるからな。」

と、車で尾行してくるな、と釘を刺されてしまった。その言葉が、高校に入って初めての会話らしき会話だった。

その視線や口調は怖いものがあったが、それでも内心はこう思ってた。

(やっと顔を見てくれて言ってくれた。だけど、昨日の事は本当に悪かったと思ってる。ごめんな、友。ハーフ君と呼ばれても、返事するよ。)

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