君は腐れ縁であり運命の人

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そして、2年生になった4月。久しぶりに5人の福山君が同じクラスになった。

農作業部の部活をしていたせいか、腰痛にも慣れた。慣れたというよりも、しゃがみ込む際の座り方を会得したのだ。動作はスマートにシンプルにと教え込まれていたが、ここは宮中ではなく学校だ。男らしい座り方、パーティの時の座り方等を使い分ける事を覚えた。

中学生とは違う、土にまみれて生命と向き合う。

相手は野菜だが、それでも自分の口に入り身体の中での働き等に興味を持ち、将来は父親の跡を継ぐなんて事は一切思わなくなった。その代り、生命の方に興味を持ち医学の道を進みたいと思う様になった。

部活が朝だけなので、学校が終わると外部の大学を受験する為に勉強をしだした。

ここ最近は、友の事をよく思う。友はヒーローのバイトが終わり、今度は、何のバイトなのだろう。

何気なくテレビを見てると、何処かで見かけた顔が画面に映ってる。もしかして、友の父親って歌手兼俳優か。

そういえば、福岡の家って、セキュリティ強固の門とか、他にも色々と言ってたな。マスコミ避け、とか何とか。そういう事か……。

そう言えば、小母さんも歌手時代があったみたいだし。ということは、友に音楽界や芸能方面に才があるのは両親似か。なら、友は将来は歌手になるのだろうか。いや、あいつが俳優なんてのは想像出来ないや。歌手なら簡単に想像つくけどな。

あいつは歌やピアノも上手いからな。

2年生になってから、友の父親を数回、学校で見かけるようになった。進学に対しての三者面談があるからだ。母親は福岡だからな、父親が側に居るのだから父親が来るのだろう。

友と、まともに話をしていないので、友明不足な毎日を感じていた。

それは、他の4人もそうだったみたいだ。それでも4人とは違い同じ部活という事だけでも優位に立って良い筈なのに、何かが違う。なので、部室で昼食を食べてる時に聞いてみた。

「ねえ、友は今日はバイト?」

「いや、オフだけど。」

「なら、一緒に帰ろうよ。」

「えー……」

「なに、それ。別に良いじゃない。高校に入ってから、友とまともに話をしてないんだから。中学校の時みたいに色んな話をしたいんだ。良いだろ?」

「あの4人も居るのか?」

「4人って?」

「えーと……、寿司にバイクに医者に」

「ああ、その4人ね。いや居ないよ」

「……なら良い」

「え、なに? 聞こえない。」

「少しだけなら良いよ。」

「ありがと。ってか、いい加減に名前呼びしてやれよな。」

「ハーフ君もか?」

「出来れば、名前呼びが良い。」

「尾行してる奴には、名前なんて要らんだろ。」

「もうしてないっ」

友と一緒に帰る約束ができたのが嬉しく、午後は楽しく授業を受ける。HRが終わると、友はさっさと教室から出ようとしている。待ってくれても良いだろ、友のケチ。まあ、西門で待ってくれるのかな。それなら、早く済まそう。

そう思って、学級日誌を手早く書き終えると職員室に持って行く。その足で昇降口に行き西門に近付いてると、友の姿があった。

友は、西門の脇にある自販機で飲み物を買ったのか、それを飲んでいる。すると、何かが物凄いスピードで飛んでくる。

避けようかどうしようと悩んだが、飛んでくる物を捕まえると、「ハーフ君用」と書かれたコーラのペットボトルだった。それを持ち西門に近づく。

「もしかして、奢ってくれるの?」

「そうだよ。」

「ありがと。」

と言って、何も考えずにいつもの癖でボトルを振る。その蓋を開けて、思い出した。いや、これはコーラ、炭酸だ。そう思ったら泡が飛び出た。

プシュッ!

笑い声が聞こえてくる。

「ぶわはははっ……、どんくせー奴。」

その言葉に、友が投げて寄越したのを思い出した。迂闊だった。でも、友が心底から笑ってるのを久々に見たので良しとするか。

友と一緒に車に乗り込むと、家に向かって走らせる。

「友、夕食どうする? 食べて帰る?」

「んー……、昨夜から海外に行ってるからなぁ。」

「なら、一緒に食べよう。」

そう言って、運転手に声を掛ける。

「今日の夕食は1人分追加でよろしく。」

「はい、畏まりました。」

久しぶりに友の笑顔が見れて嬉しいと思いながら、今日は話もできるんだと思うと益々楽しくなってくる。今日は運が良い。

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