君は腐れ縁であり運命の人

16 ソフトな性描写あります

車はハーフ君の家に着く。エントランスホールに入ると直ぐに手洗い所が目につき、勝手ながら手洗い所に入り手を洗って、中に入る。福岡の屋敷を小型化した建物だが、品の良さが分かる。

お邪魔します、と友は声を出した。

それを見た豊は友をリビングに通し、ウェルカムドリンクを使用人が手渡してくれる。友は、ありがとうございますと使用人に言うと部屋内を見回してる。

「福岡の小型版?」

「んー、小型というよりも、ここは自分の家だから。あっちは親のだからバカでかいだけ。」

「へー……。こっちの方が親しみやすい感じだな。」

「ありがと。そう言ってくれると嬉しいな。ねえ、友。色々と聞きたい事がいっぱいあるんだ。これから聞くことに答えて。」

「不必要だと思ったら言わないから。」

「それでも良いよ。なんで、福岡でなくて東京なの?」

その言葉に溜息付いて言ってくる。

「そっからかよ……」

「今更だろうけど、入学してからこっち話らしい話はしてきてないからね。教えて。」

「あそこは、福山さん福山君は大勢居たからな。テストしても、張り出されるメンバーと順位は変わらない。それなら、東京に行こうと思っただけだ。」

「他にも学校はあるじゃない。」

「近くに親が居るのと居ないのとでは大いに違うからな。」

「で、東京?」

「そ。東京で生まれ11年間育ったからな。」

「いつ受験したの?」

「夏休み。」

「え?」

「3年の時の夏休み。珍しく香織が受験勉強してるから邪魔しない様にと思って、こっちに来たんだけど。夏休みの間に受験して受かった。」

「そうなんだ……」

「香織は私立で金掛かるけど、俺は国立だったから。『あんた達は何時まで経っても足して2で割ると丁度良いよね』と、お母ちゃんに言われた。」

「あははっ。小母さんらしい。」

使用人が来た。

「失礼致します。紅茶とケーキを置いておきます。どうぞ、ごゆっくりなさって下さい。」

「ありがとう。」

友も、お礼を言ってる。

「ありがとうございます。頂きます。」

使用人の顔がほんのりとだが紅潮したのを見ると、なんか嫌な気分になった。

「で、友。お前、今はバイトって、何をしてるんだ?」

「え?」

「その、この間っていうか、正月明けは知らないとはいえ、邪魔してしまって申し訳ないと思ってるんだ。ギャラが安くなってないか、不安で……」

「ああ、あの着ぐるみは1年間でいくら、と決まってるから大丈夫だ。ところで、なんでお前はあそこに居たんだ?」

「イタリアに行って帰ってきたばかりだったから。」

「なるほど、それで空港ね。」

「悪かったな。」

「別に、もう終わったことだしな。」

おっ、このケーキ美味いと言いながら、友はケーキに手を出し美味しそうに食べてる。

「紅茶、お代り貰っても良いかな?」

「良いよ。」

ふいに友から話しかけてきた。

「で、いつから田園調布に家を持ってるんだ?」

「え?」

「ここ最近?」

「5年位前かな……」

「そうなんだ。」

「新しいから?」

「ああ。車だったから分からないけど、田園調布のどこら辺?」

「どこら辺と聞かれても……」

「駅の方?」

「いや、駅には車で20分位かな?」

「そう……」

「友?」

「今は、お父ちゃんのマンションだけど。元々、駅の方の近くの一軒家で暮らしてたんだ。」

「え、田園調布の駅の近く?」

「ああ。」

「田園調布は、庭か?」

「いや、そこまでにはならないね。」

「懐かしい?」

「ああ、懐かしいね。なにしろ4歳児までは、よく虐められたからな。」

「福岡に転入してからも虐められたしな。」

「そうそう。でも、あれからなくなったし不気味だね。何を思ってるのか、さっぱりだ。」

「優三郎は、話しかけたそうにしてるぞ。」

「優三郎……」

考え込んでいる表情に溜息が出る。

「はあっ、お前ね。いい加減に名前覚えろ。1年の時は、お前の左横に座ってただろ。」

「ああ、あの根暗な奴ね。」

「なに、そのボキャブラリーの貧困さ。それでよく学年トップに居座ってるよな。」

「そっちもな。」

ある意味、愚痴大会になっていたが、それでも嬉しかった。見てないようで、見てるのが分かり友に言っていた。

「友、お前は好きな奴居るのか?」

「は? いきなり、何?」

「部活作業中、女子から熱い視線を受けてるだろ。」

「ああ、悪いが女子には興味ない。」

「へ? なに、それ……。って、お前まさかホモ」

「シャラップ!」

「違うよな、ああ驚いた。」

「今は学校とバイトだけで十分だ。」

「……友、はっきりと言う。」

「なんだ?」

「お前が好きだ。だから」

叩かれた。

「ってぇ。なにも叩かなくたって……」

「ふざけるのはいい加減にしようね、ハーフ君。」

「何度でも言うぞ。お前が好きだ、お前が好きだ、お前が好きだ。」

「はいはい。お前は子どもか。」

「どうとでも言え。高校に入学してからずっとお前の事を見てきた。また、中学の時みたいに笑い転げて話が出来ると良いなって、何度思ったことか。何度でも言うぞ。お前が」

「ああ、友達としての好きか。」

「違う、そっちではない。」

「それなら知人? 仲間? んーっと、他には……」

「恋人とは思ってない。入学式の時、本当に驚いたんだ。もう、誰とも会わないだろうと思ってたから。それなのに、友と会っただけでなく優三郎にも会うし。挙句の果てには夏や隆一に良も居るし。こいつ等と一緒に居るのは運命なのか。そう思ったね。」

「いつもより饒舌だな。」

「言っただろ、お前と話がしたいって。ずっと話がしたかったって。それなのに、お前は目を合わそうとはせずに、話もしかけてこない。お前の本音はどこにある?」

「ハーフ君、お前は慣れない農作業をして頭をやられてるんだよ。静かに寝てろ。」

「お前だからこそ、まだ許してるんだ。」

「何を?」

「その呼び方。他の奴等だったら、即ぶん殴ってる。」

何やら違和感を感じた友明は、豊に牽制を食らわそうとしたのか言ってくる。

「ちょっと、近いよ。」

「当たり前だろ、キスしたいんだから……」

「は? 何言って……、ちょ、ちょっと」

友、お前が好きだ。

豊は高身長と体重を友明の身体に乗せてソファに押し付けると、友明の唇に己の唇を重ねた。

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