君は腐れ縁であり運命の人

18

3年に進級しようとする3月の、春休みになろうとしている日、夏雄と優三郎と隆一と良の4人が動いた。

友の席に4人して近付こうとしたのか、それでも友は担任に声を掛けられ教室を出て行く。その後姿を見送った4人は、今度はこっちを目指して来る。

内心では良かったと思ってるのに、溜息を吐いてしまう自分が居る。

夏雄が、本当に寂しそうに言ってくる。

「豊、俺、まだ友と一言も口きいてないのだけど……」

良も寂しそうだ。

「うん、寂しい……」

隆一は、まさに核心を突いてくる。

「なんか、友は近くに居るのに遠くに居るような感じだ。」

優三郎は1年の時から一緒のクラスだから皆より貯まっているのだろう。

「放課後もさっさと帰るからな。」

それでも、知ってる事しか言えない。

「本人に聞いてみれば?」

これしか言えなかった。ここで同じ部活だと言えば、こいつ等はどう反応するのだろう。でも、お前等と同じ悩みを持ってるんだよ。自業自得なんだけどな。

自分で墓穴を掘ったのだから文句は言えないのだが、あれから避けられてるのは分かっている。さり気なくだが、手が触れるだけでも過剰に反応してくれる。でも、裏を返せば意識してくれてるという事だ。そう思ってれば良いんだ。

優三郎が先に動いた。放課後、友が教室を出ようとしてる時に、優三郎は声を掛けてる。

「なあ、たまには一緒に帰ろうよ。お前、何処に住んでるんだ? 寮じゃないよな?」

だが友は黙って教室から出た。声を掛けられてるという思いはなかったのだろう。

「おい、待てよ!」

肩に手を振られるのが嫌みたいで、優三郎の手を払い一言だった。

「忙しいので。」

「澄ましてんじゃないよ!」

優三郎が大声で言うものだから人だかりが教室の出入り口にできた。仕方ないので、豊は優三郎に声を掛けた。

「いい加減にしろよな。そこに固まってると誰も出入りできないだろ。」

「なら、豊があいつへの架け橋になれ。それに、あいつは相手にしてくれない。」

「教室から出て声を掛ければ良いじゃないか。」

「そうだけど……、なんか癪に障って。」

違う声が入ってくる。

「優三郎が小学生の頃のままで居るからだろ。友、一緒に帰ろうよ。」

と、隆一が。

「そうだよ。友、昔みたいに出歩こうよ。」

と、良が。

「友もそうだけど、優も口数が少ないんだよ。」

と、夏雄が。

なんで、皆が皆、友に声を掛けるんだ? 肝心の友は、既に昇降口に向かう階段を降りようとしている。その友を追って、4人は走ってる。

仕方なく、そいつ等を追って行く。優三郎、意外にも足が早いんだな。西口の門で友を捕まえたみたいだ。ああ、今日はバイトの日か。

靴を履き替えると西口に急いでいると、優三郎は友のマネージャーに吹き飛ばされているのが目に入ってきた。友は車に乗り込みバイトに行ってしまった。

優三郎に言っていた。

「お前ね、友に何をしてたんだ?」

「忙しいとしか言わないから叩こうとしたら、違う奴が俺を殴ってきたんだ。あいつが何を考えてるのか分からないよ。」

「せっかく同じクラスになっても、一言も話せないだなんて寂しい! 豊、どう思う?」

「うーん……。ストーカーになる、とか?」

隆一は溜息をついている。

「ストーカーねえ……。友なら警察に突き出すだろうな」

夏は、そんなの嫌だと身体全体で表現している。

「突き出されるの嫌だな」

だけど、良だけは違っていた。

「ばれなきゃ良いんだろ」

その言葉に優三郎が応じる。

「お前ね、本当にストーカーする気か?」

すると、誰かに声を掛けられた。

「あ、ハーフ君、丁度良い所に。」

「え?」

振り返ると理事長が居た。

「これね、温室の材料が届いたんだ。」

「もしかして、組み立てろと?」

「組み立ては明日、皆でやるよ。で、君には違う事をやってもらう。」

「どんな事ですか?」

「この温室の温度を一定に保ちたいので、そのプログラムを作って欲しいんだ。お願いされて?」

「はい、良いですよ。何時まですれば良いですか?」

「春休みに入るまで。」

「はい、分かりました。」

理事長から、時々こうやってプログラムお願いをされ組んでいると、少ないけれどギャラを頂ける事がある。小遣いには少ないが、それでも有難いことだ。不純な動機での入部だったが、今では楽しく思えてるんだ。

じっ……と見つめてくる4人の視線が痛い。誰が、お前等と友を仲良くさせるもんか。それでも、こいつ等の気持ちも分かる。

4人を見つめ返していたが、顔を背けてしまった。

「豊?」

「悪い。役には立てそうにもない。」

結果、突き放してしまう事になった。

数日後、良が羽目を外して友を襲ったという事件が起きた。

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