君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 20

そして、良からの暴行を受けて学校に戻って来た友は言ってきた。

「お世話になりました。」

まるで他人行儀な言葉だったけれど、顔を見れば分かる。照れてる。その照れ顔が余りにも可愛かったので、私も照れていた。

「裁判かけようと思ってるんだ。お前もかけるか?」

即答だった。

「いや、かけない。」

「どうして?」

「かけても、あいつは懲りない。だから、かけるだけ時間と金の無駄使いだと思う。」

「なら、どうするつもりだ?」

「切る。」

「え?」

2度聞きしてしまった。

「今、何て言った?」

「仲間と思っていた。だが、その仲間を襲ったり手を掛けるという事は、もう仲間ではない。だから切るんだ。冷たいと思われても構わない。」

その時の友の顔は冷たい表情をしていた。

「そっか。なら、私は別の理由であいつを裁いてやる。」

「どんな理由だ?」

「あいつを裁いてやったら教えてやるよ。」

3年生を目前に控えた2年生には必ず必要なものがある、進学校には必ずある振り落とし。そう、2年生の学年末テストだ。

赤点を1科目出せば留年が、2科目だと退学が待ち受けている。だから、3年生の人数は入学当初より半分近くに減る。

その為、3クラスあった教室は2クラスになり、90人近くいた生徒も40数名になった。

進学する為の授業になり、これに付いて行かないと志望大学には入れないかもしれない、と担任や先輩からも聞いている。

私の進む大学は決まっている。父親の卒業した大学、国立東響大学だ。農作業部で色々とやっているから、生命に向き合いたい為に医学部に決めた。別に医者になろうという気持ちではない。生きる、という事に興味を持ったからだ。

野菜の生命力の強さ、儚さ。ただ、農学部という事は考えてなかった。だから医学部にしたんだ。本当に大変だったんだから………。

友はどうするのだろう。父親と同じ芸能界に入るのだろうか。それでも、大学を卒業してる芸能人も居る筈だ。

もし、同じ大学だったら、それこそ運命の出会いだよな。その時こそ、私は言わせて貰う。

「やはり、私達は出会う為に生まれてきたんだね」ってね。

部活も5月のGWを最後に引退となる。

あっという間だったな。でも、これからが受験に向けての本番だ。

3年になると、友と同じクラスになった。やったね、これで3年間ずっと同じクラスだ。でも夏雄と優三郎までも同じだ。

隆一はどうしたのだろう、もしかして……。隣のクラスを覗くと、視線に気が付いたのだろう。隆一が手を振ってくるのを見て、安心した。

「寂しいか?」

「いや、煩いのが居なくなって清々してるよ。」

「大学どうするんだ?」

「エスカレーターだよ。」

「そっか、気が楽だよな。」

「知らないの? B組はエスカレーター組だよ。」

「あ、それならA組は皆受験するのか。ん、夏雄もA組なんだけど?」

「受験して、栄養士の資格取るって言ってるよ。」

「ほー。エスカレーターでも良いような気がするんだけどな。」

「優三郎が受験するから自分もって言ってたよ。」

「どういう意味?」

「そう言う意味だよ。あの2人はいつの間にか恋人だよ。それより、受験頑張れよ。」

「えっ! 今、なんかショックな言葉を聞いたような……。あれ、って事はなんだ。B組と授業内容は違うって事か?」

「そうだね。」

「教科書の貸し借りは出来ないって事か……」

「そうかも(笑)だから、豊。今迄の様な忘れ物はしない様にな。」

そう言われ、肝に銘じとくよ、と返してB組を後にした。

1年後の3月1日、久々に顔が揃った。

私達の高校の卒業式であり、答辞は、もちろん友だ。こいつは、入学式の時もそうだったよな。バイトしながら、いつ勉強してるんだろ。

でも、センターの結果は卒業式が終わって数日後だ。もう、友とはここまでかもしれないな。そう思うと、帰り際言っていた。

「友、今日の仕事は?」

「オフだ。」

「なら、一緒」

「明日、テストがあるから無理。」

「なんのテストだ?」

「秘密。」

「教えろよ。」

「嫌だね~」

語尾が踊ってるぞ。明日って、土曜日だよな。何のテストなんだろう。たしかに、土日なら何かのテストがあってもおかしくはない曜日だ。でも、テストが終わってから会おうと約束を取り付けた。

「なんでだよ。」

「もう、これっきりかも知れないんだよ? だから、最後に会おうよ。」

我ながら涙を浮かべてしまっていたのは恥だったが、相手は友だ。暫らくすると、友は溜息を吐いてスケジュール表を見ながら返してきた。

「分かったよ。明日は無理だから、明後日も無理か。3日後の月曜ならOKだ。」

「ん、サンキュ。なら、月曜に」

「迎えは要らないからな。8時に、西門。」

「え、なぜ学校?」

「近いから。」

今度は、こっちが折れる番だ。

「分かったよ。でも、制服はなしにしてくれよ。」

「はいはい。」

そして、2人でディズニーランドで遊びまくった。友も嬉しそうに遊んでたし、笑顔が満杯だった。

「俺、東京に来て遊んだのは初めてだ。ありがとな。」

「どういたしまして。嬉しそうな表情の友は中学卒業以来に見るな。」

「この3年間はバイト三昧だったからな。」

「着ぐるみ俳優業?」

「それもあるが、一昨日は少林寺の段級試合で、その為の稽古もしてたから。」

「へー、テストって少林寺のか。」

「そうだよ。」

「結果は?」

「ふふふんっ♪見事、3段合格だ。」

「おめでと!」

「サンキュ。と、いう事で念願の」

と言われ、胸倉を掴まれた。

「え、念願って何の事?」

「合気道の相手しろ、って言った事あったよな。」

「遙か昔の話しだな……。たしか、死ぬよと言っただろ。」

「死なんよ。お前は、俺を生かすだろ? え、違うか?」

その上目使いが、とんでもなく色っぽい。

「意地悪っ」

これしか言えなかった、が、次の瞬間。友に投げられていた。

「友-……」

「へっへー。隙ありだな。」

なんだかんだと楽しく一日を過ごしていた。友、好きだよ。

合気道に引き続き、少林寺の段級試合の合格、おめでとう。しかし、なんで投げ飛ばされたのだろう。アレは発動する間もなかったという事か?

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