君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 28

3時間後、サトルと一緒に短大を後にした。本音を言えば友と居たかったが、まあ良いや。居場所は分かったから。

サトルは、短大の前にある屋敷がユタカの家だとは知らなくて驚いていたが、遅い時間だけど、と言いながら、今日やったところの復習を兼ねてコンピューター談義をしていた。

使用人達は、外面の良いサトルの笑顔に微笑ましさを思えたのか、あれやこれやと簡単に食べれる物を作って持って来てくれる。

そういえば、友の時は和菓子を4箱渡していたっけ、こいつには、どうするのだろう。

帰るから、と言ってサトルは自分の家に連絡をして、ここの場所を教えたら、サトルの電話の向こうから大声が聞こえてきた。

「お前、なんていう人の所に居るんだ! おいっ、車を」

「私も行くから待ってろよっ」

もしかしてと思ったが、どっちがどっちなのか分からないので聞いていた。

「誰だ、この2つは?」

「来たがってるのは昌平だ。最初のは次男だ。」

「放浪癖の長男と、後を継ぐだろうと言われてる勝ち組の次男か。」

そこまで言うと、にやつきながらサトルに言ってやる。

「で、サトルは?」

「くそっ、言いたいように言えよ……」

サトルの苦虫を潰したような表情に声。いつも左腕に居座り、ボスの守護と言ってる澄ましやなサトルを言い負かしたことによる優越感を感じていた。

10数分後、1台の車が到着した。

門の守衛から連絡を貰った執事は車寄せに向かい、サトルを見送るのを兼ねて外に出た。

サトルは一目で(この2人は車の中で着替えたな)と見抜いた、その2人とは。

お洒落な雰囲気を醸し出すワイン色の上下を身に付け、リボンタイを着こなしてる放浪癖の長男の昌平が先に口を開いてきた。

「この度は、弟がお邪魔したそうで。なにか失礼な事を働いてないでしょうか?」

「いえいえ、とんでもない。私も、同じ医学部でして話に花を咲かせて、こんな遅い時間になってしまい申し訳ありませんでした。」

「同じ医学部って、同じ大学ですか?」

「はい、そうです。」

すると、ノーコンの上下を身に付けた勝ち組の次男の隆星が割って入った。

「これからは公私共に仲良くさせて貰えると嬉しいです。よろしくお願い致します。」

「御顔をあげて下さい。私はまだ学生です。父には、そのように仰られた事を伝えておきます。こちらこそ、これからもよろしくお願い致します。

ご自宅にお戻りになられたら『御』にも、お伝え願えないでしょうか。『福岡の福山から、今後とも宜しくお願い致します』という言葉を。」

「ありがとうございます。父に、そう伝えておきます。夜遅くまでお邪魔させてしまって、申し訳ありませんでした。それでは、これにて失礼させてもらいます。」

「お気を付けてお帰り下さいね。」

「ありがとうございます。」

帰りの道中、サトルは2人の義兄に笑いながら言っていた。

「狐の化かし合いだったね。私には無理だ。やっぱり社交界には向いてないな……」

それを聞いていた長男と次男は笑っていた。

「わはははっ。大丈夫だよ。社交界には私が出るから心配は要らない。」と長男が。

「跡を継ぐのは私だから、お前は気楽にやってれば良いさ。」と次男が。

その2人の声に、サトルはボソッと呟いていた。

「ほんと、人間環境に恵まれてるよな。ありがと……」

その呟きが聞こえたのだろう。義兄は2人ともサトルを抱きしめていた。テレなのかなんなのか自分でも分からず、サトルは叫んでいた。

「くっ付くなー! 暑いっ!」

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