君は腐れ縁であり運命の人

帰りは、珍しくハーフ君が喋り続けて俺を家まで送ってくれた。

少し考えたが、俺はハーフ君を家に入れようと門を入った途端、ピー音が鳴る。

「あ、やっぱりダメだったか……」

だが、後ろに居たハーフ君は、既に門の外に出ていた。

ピー音を聞きつけたのか、お母ちゃんが手に木刀を持って出てくる。

「お母ちゃん、違うよ。違うっ」

「友? 何が違うの?」

「友達が送ってくれたので、家に上げようかと思っただけなんだ。」

「友達?」

怪訝な表情で、お母ちゃんはハーフ君を見てる。

そのお母ちゃんに、俺は紹介していた。

「同じクラスの、一つ前の席に座ってる福山……、福山ハーフ君。」

なぜかハーフ君は項垂れてる。

え、もしかして名前違ったっけと焦っている俺に、ハーフ君は言ってくる。

「たしか、自己紹介したよな。そりゃ、頭は銀髪でハーフだけど……。もう一度言うから覚えて。」

「はいっ」

ハーフ君は、お母ちゃんに向かって自己紹介しだした。

「初めまして、福山豊と申します。日本人の父とイタリア人の母を持つハーフです。友明君とは、一つ前の席に座ってます。よろしくお願いします。」

そう挨拶すると、ハーフ君は華麗な礼をすると、俺の方を向いてくる。

「始業式の時も言ったが、豊(ユタカ)と呼んでね。」

これまた、にこやかに微笑んでくる。

「は、はい。豊、よろしく。」

「うん。よく出来ました。」

お母ちゃんは納得いったのか、豊に返事をしている。

「初めまして、友明の母です。ここでは、家族以外の人間が門を入る時はセキュリティが働いて入らせない様にしてるの。」

「え、そうなんですか……」

「友明。今度はインターホン鳴らしてね。」

「はい。ごめんなさい。」

なんとか家に上げることが出来て、一安心した。

翌日、登校班で行ってる時、途中から豊との班と一緒になる。その時、声を掛けられた。

「おはよ、友明。」

「おはよ、ゆ・豊。」

そう言うと、豊は嬉しそうな表情をしてきた。

「やった。やっと名前呼びだ。」

それを聞きつけたのか、他の福山君3人も言ってくる。

「えー。なになに、名前呼び?俺、呼ばれた事無いよ?」

「俺も、無いんだけど……」

「同じく、無いよー」

豊はニヤついて俺に言ってくる。

「友明、1回なら許してやる。だから、呼んでみたら?」

「本当に、許してくれるの?」

何の事か分からないといった表情をしている3人は頷いてる。だから、勇気を出して呼んでみる。

「お、はよ……。ゆういちと、ようと、なつ……?」

3人とも、ガックリと項垂れているが、豊は笑ってる。

「いんじゃないの?ニアミスだ」

3人は溜息をつくと言ってくる。

「……中々、名前呼びしてくれないなと思ってたんだ。それかよ。ゆういちではなく、りゅういち、だ。覚えろ。」

「ん、ごめん。りゅういち、ね。あ、隆(りゅう)ちゃんでも良いかな?」

「いいよ。なら、俺は略して『友(とも)』と呼ばせて貰う」

「うん、良いよ」

もう1人も。

「なら、俺も『友』と呼ばせて貰う。それに、俺はりょう、だからな。りょう!OK?」

「うん、OK!」

もう1人も。

「じゃ、俺も『友』と呼ばせて貰う。それに、なつでも良いけど、な・つ・お。なつおだからなっ!」

「どっちが良い?」

「なつ、でも良いぜ。」

「なら、なつで。」

「おうっ」

違う声が入ってくる。

「なになに、今更な話をしてるような気がするんだけど?」

豊がさっきと同じ事を言ってくる。

なので、俺も同じ事を聞いてみると頷いてくれたので、呼んでみた。

「ゆう、さん?」

「なに、それ?」

「名前」

「え、名前って俺の?」

「そうだよ。ゆうさん、だよね? ああ、良かった。安心した。」

だが、4人の声は重なっていた。

「いや、違う。ゆうさぶろう、だから。」

「は?」

ゆうさんが言ってくる。

「は、ではないよ。優三郎様とお呼び。」

「優ちゃん、で良いよ。」

「良くなーい!」

と言ってるが、嬉しそうな声だ。

うん、覚えた。家の隣の小児科は隆(りゅう)ちゃんで、家の前のバイク屋は良(りょう)ちゃん、ハーフは豊(ゆたか)で、寿司処の夏(なつ)、そして、優(ゆう)ちゃん。

この5人が、俺にとって小学校時代の仲間になった。

にほんブログ村 ベンチャーブログ 女性起業家へ
にほんブログ村

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。