君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 33

主催者に挨拶をした後はターゲットの近くまで移動して、囮役のタカに説明をしていた。

「ああ、ただサトルと喋っていれば良いだけか」と、タカが。

「アバウトな奴だな。さっきも言ったように、あいつは初々しい男がタイプなんだよ。そんな事を言ってたら、ハーレムの一員にされるぞ」と、ジュンヤが。

「まあ、後はジュンヤと私が暴くから」と、ユタカが。

「私も暴きたいんだけどな」とサトルが言ってくるが、ダメと制させられた。

理由は単純明快の一言、「サトルの兄が居るんだから」との事だった。

するとターゲットが動いたのか、ジュンヤが小声で言ってくる。

「こっちに来るぞ。」

「なら、臨機応変で。とにかくタカはサトルと一緒に動け。」

2人が揃って了解と声を重ねた。と同時に、声を掛けられた。

「ねえ、そこの黒髪の子。君は初めてだよね? 私と一緒に話をしないかい?」

黒髪の子と言われ、直ぐに応じたのはサトルの方だった。

「いえ、結構です。」

「いや、これは失礼。君の方ではなく、こっちのがっしりとした身体つきの方だよ。」

タカも応じた。

「いえ、結構です。」

「どうして?」

「何よりもまず、自分の名前を名乗るのが普通でしょ?」

「ああ、それもそうだね。これは失礼した。」

そう言って、そいつは名刺をタカの方に差し出した。

「私は真田竣太、父は都議員をしている。」

「貴方は?」

「君と話がしたい。」

すると、違う声が割って入ってきた。

「こっちに居たぁ~」

(げ、なんでこっちに……)と思ったが顔には出さないでいた。

「ね、挨拶済んだんでしょ? 一緒に話そうよ。」

サトルの兄の腕を、ジュンヤとユタカはこっちの計画をパーにしないでくれという思いで引っ張っている。サトルの兄は2人を一瞥すると相手が分かったのか、にこにこと言ってくる。

「もちろん、君達も一緒だよ。」

すると、竣太が嫌そうな声を出して来る。

「誰かと思えば、昌平さんかよ……」

「うん? おや、これはニート君。私の弟に用かね?」

「弟?」

「そうだよ。私の可愛い弟と、その友達だけどね。」

そう言われ、竣太はタカと昌平さんを交互に見ているが、鼻で笑い言ってくる。

「似てないよね?」

「よく言われる。」

「そう? だけど一緒に話がしたいだけなんだけどね。」

「そうなの? でも、君の話って、イコール抱くという事になるでしょ。それは許せないな。」

「あのね……」

「違うの? あ、それともタイプを替えたのかな?」

「昌平さん、貴方は私に喧嘩を売ってるの?」

「違うよ。ただ単に、弟とその友達に手を出して欲しくないだけ。」

4人は、はらはらとしながら聞いている。この2人の会話は一発触発で危ない。仕方ないので計画変更だ。そう思ったジュンヤは、サトルとタカに手招きをする。それに気づいたタカは、サトルに視線を送ってる。

暫らくすると、サトルはチラと肩越しに見ると、ジュンヤが手招きをしてるのが見えた。

さあ、どうやって逃げよう。

昌平が、この竣太と話をしてる今が一番良いのだが、昌平は族の頭をしてるのもあり鋭い。腕時計に目をやると、19時半になろうとしている。

今夜は、もう駄目かもしれない。それなら、トイレに駆け込もう。そう思うと、サトルはタカの腕を取った。応戦状態になっていたタカは直ぐに反応した。

だが、反応が少し遅れた昌平は2人を捕まえることができなかった。それに、あの2人も居なくなっているし。内心は安心していた。

(まあ、いいか。毒牙に掛からなくて良かった。後でこってり絞ってやるからな。)

タカを連れてトイレに駆け込んだサトルは、少し遅れてトイレに駆け込んできた2人と合流した。

「悪い、昌平の出しゃばりでパーになってしまった。」

「いや、良いさ。少しでも分かったことがあったから。」

「あの手の人間には近付くな、という事だな。」

「私は、この為に10万も出したんだぞっ」

3人は、タカに御免ねーと謝ると、本当はやってはいけない事なんだけどと前置きして飲食スペースに移動して食事を食べる事にした。

「お! 上手い。元を取ってやる。」

と言いながら食べているタカを横目で見ながら、元を取るつもりならブクブクと太るぞと思って自分たちも食べていた。

「あ、こんな所に居る。しかも、食ってるし……」

「また、昌平かよ……」

「さっきは、どうした?」

「悪い、絡まれてどうする事もできなかった。」

「そういう時は、素直にお兄ちゃん助けてって言え。そしたら、助けに来てやるから。」

「ん、ありがと。」

素直に感謝の言葉を言われて嬉しかったのか、お兄ちゃんは弟とその友達にさっきの事を教えてくれた。しかも、忘れずに付け加えてくれる。

「まあ、サトルがパーティーに来るほどだから、あんな羽目になったのかもな。で、自己紹介がまだだったね。私は山口昌平、悟の兄だ。よろしくね。」

ユタカとジュンヤとタカも自己紹介をした後のジュンヤの言葉で、昌平は納得した。

「そうか! 今夜のパーティはフリーだから、タカ君を社交界デビューさせようとしたのか。あ、なら良いのがあるよ。」

「なんですか?」

「毎年12月にやるんだけどね」

だが、サトルは遮っていた。

「昌平、それは駄目だって。」

「別に良いと思うよ。私も、お願いしとくから。」

ユタカが興味を持って聞いてくる。

「12月って、クリスマス?」

「そうだね、12月はクリスマスだけど、中旬にね」

「あ、中旬という言葉で分かりました。バースディですね。」

「そうそう。良かったらどうかね?」

「でも、本人にお伺いを立てないといけませんよね? お気持ちは有難いのですが」

「なら、打診しておくよ。で、その結果をサトルに言って伝えて貰う。それで良いかな?」

(人の話を聞けよ)と思いながら、ユタカは応じていた。

「はい、それでお願いいたします。」

話が、どんどんとややこしくなっていくが、その結果が悪くなることを願っていた。

それから数日後、正式に招待状が届いた。

いつもは無視するか、丁寧に断りの文字を添えて返信している豊だが、なにしろ9枚という枚数が一包みにされて来たので驚いているのだ。

送り主を見ると、『御』という文字が手書きで書かれている。日本を揺るがす事の出来る人物で『御』と呼ばれてる、サトルの父親だ。

9枚って、どういう事? 今迄は1枚だけだったのだけどな。しかも、返信はがきも付いてないし、参加不参加の文字も無い。

机の下に落ちたらしい紙切れが目につき拾うと、『御』という文字が見える。それにはコメントが書かれてある。

『長男と三男の2人から話を聞きました。

是非、皆さんで楽しんで貰いたいです。

9人共、是非お越しください。』

9人って、あのスズメも入るのか? あいつが一番、場に相応しくないぞ。そう思いながら、翌日、その招待状を持って大学に行った。

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