君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 34 パーティー日和

ゼミの時間まで待ち、サトルに送られてきた招待状を見せる。それを見たサトルは溜息を吐いて言ってきた。

「こういう時は素早いんだな……」

サトルがユタカに事の次第を話してる間、他の8人がゼミの部屋に入ってくる。ふんふん、ふんふんふん、ふんふんふんふん……と、話を聞いていた8人は驚いていた。

タカが一番驚いてる。

「え! 打診の結果って、そういうので来るの?」

「違うよ。その返事は私も聞いてない。だけど、9枚が一包みになってるなんて……」

ユタカが気になってる事を聞いてくる。

「あのさ、返信はがきも、参加不参加の文字もないんだけど……」

「そうみたいだね……」

「まさか、絶対?」

「そうかもしれない。」

「えっ、今迄はその選択文字はあったよ。」

「でも、参加してないだろ?」

「まだ学生だから地位の高過ぎる主のパーティーには行くな、と言われてるんだ。」

「大体、来る連中って決まってるからな。爺さん連中が殆どだな。」

ジュンヤも声を挟んでくる。

「その中で、学生が9人? 浮く。これは絶対に浮く。」

それまで黙っていたワンが言ってくる。

「だけど、可愛がられるぞ。」

その言葉に、皆が反応した。

「それは、どういう意味?」

「顔と名前を憶えてくれ、色々な話をしてくれる。一番、持って来いな状態だ。」

そう言う意味かと安心したのかどうなのか皆は溜息を吐いてるが、ワンにはその意味は分からなかった。

「他にもあるのか?」

「いや、その、サメみたく手を出すのかな、とか……」

「ああ、そっちか。爺さんなら、そういう事はないだろ。違うか?」

誰かが、ぼそっと言ってる。

「ショタ好きとか……。いえ、スルーして。」

ユタカは父に話したら溜息交じりに、「分かった、でも今回だけだ」と念押された。

そして、時は過ぎ12月中旬。

一番の難関だったスズメは嬉しそうに正装だ。

「へっへー。略礼も持ってるが、こっちの方が良いだろうなと思ってね。」

久しぶりに着るんだと言いながら、着てきたのは黒一色の上下にインシャツは薄めの黄色、タイとチーフは銀の地に黒と赤で鳥を連想させる模様が入っていた。

カマーバンドは?と聞くと、ほれ!と言って上着を脱いで見せてくれた。スズメのカマーバンドはインシャツと同じ薄めの黄色だ。

で、マサは。

「正装で良かったのか? 礼服もあるが、相手が相手だから正装で行けと言われた。」

そう言って、着てきたのはノーコンの上下でインシャツは白、蝶ネクタイにチーフは白だが、胸ポケットにはダイヤが1点付いている。

聞いてみると、父と一緒にパーティーに参加したことがあるトのこと。うん、見るからに警視庁のパーティー姿みたいだ。

で、ユウマは。

「正装なら持ってるけど、これで良いか?」

不安なんだけどと言いながら、ノーコンの上下でインシャツは白で蝶ネクタイ、宝石を散りばめた模様が胸ポケットを彩って、チーフは白だ。

タカは、夏に買った上下を着ている。と、思いきやジュンヤに夏と冬は違うと言われ、また買う羽目になったタカだった。

今度は、正装で黒一色の上下でインシャツは薄めの黄色、嫌味を感じさせないほどのパールを散りばめたタイ、チーフは銀色で刺繍の入った薄めの黒のレース。見るからにジュンヤのチョイスだと分かる代物だ。

カズキは黒一色の上下だけど、どことなく活発な感じのするデザインだ。聞くと、中国でメイドしたものだ、と教えてくれた。それでも、インシャツは薄めの黄色で蝶ネクタイにはチェーンが付いては、インシャツと同じ薄めの黄色のチーフだ。

ワンは、香港流の正装だった。これは、香港ではオーソドックスな正統派の正装であり、父であるミスターが、それを着ていけば問題は無いと教えてくれたそうだ。さすが香港マフィアのジュニアという貫禄を受けた。

そして、少し遅れて入ってきたのはボスとユタカとジュンヤだ。

ボスは正装だった。

「どっちの正装にしようか迷ったのだけど、こっちで良かったか?」

ボスが決めた正装とは、明るめの黒の上下でインシャツは薄めのピンク。蝶ネクタイには嫌味のないチェーンが飾っており、胸ポケットにはピンクで刺繍がされている真っ白なチーフだ。

パーティに出た事は?と聞くと、こう返ってきた。

「仕事の打ち上げとか、父親に付いて行った時だけ」

芸能人のパーティーか、そう思うと納得した。

ジュンヤも正装だった。

「相手が相手だからね、敬意を示して。」

その正装とは、ノーコンの上下でインシャツは薄めのブルー、タイはダークな紺にダイヤが1点アクセントとして付いてる。胸ポケットにはインシャツと同じ薄めのブルーのチーフだ。ジュンヤにとっては地味なチョイスらしい。さすがモデルだ。

かく言う私も正装だ。

「そうだよね、パーティーでは大事な事だ」

自分でチョイスしたのは、ノーコンの上下でインシャツは薄めのピンク、これまた同じくノーコン地で薄く銀のストライプが入っているタイ、胸ポケットには薄めのピンクで刺繍をされた白のチーフ。

ボスと同じだと思うと嬉しかった。(友、やはり私達は運命共同体なのかな?)そう思っていた。

そして、主催である一家が会場入りをしてくる。

こうして見ると、3人共同じように見えるな。義兄弟とは思えない。その内の一人、サトルも正装をしている。

その正装とは、明るめの黒の上下にインシャツは薄めの上品そうな紫、蝶ネクタイに胸ポケットにはインシャツと同じ色で刺繍を施しているピンク地のチーフだ。

約3時間というパーティーだった。

楽しく喋りあいながら余興もあった。そのパーティーの余興としてサトルはバイオリンを、いつもフルートを持ち歩いてるユタカも、そして、ボスもピアノで盛り上げていた。

そして、サトルを含めた学生10人が楽器も出来るという事を知った『御』は、毎年彼等を招待する様になった。もちろん、返信はがきも参加不参加の選択文字もない招待状をだ。

ユタカはボスには弱い。惚れた弱みと言うが、それもある。それもあるんだ、それよりも何よりも。なにしろ、ボス命令だ!と、帝王学をしっかりと身に付けたボスが睨みながら言ってくるから、何も反論できないのだ。

しかも、視線をずらしても、ずらした先を見てくれる。いや、普通に見てくれるのは嬉しいが睨みながら言ってくるのだ。その強い視線と口調には逆らえない。まったく、『御』はとんでもない事を友に教え込んでくれたものだな。

それに、当然ながら父には黙っていた。

今迄は、自分相応のパーティーしか参加しなかった。だが、『御』という立場の主が主宰するパーティーには一度も参加した事がなかったので、そのたった一度のパーティーで世界への扉が開かれたのだ。

余興では10人がミニチュアでオーケストラを組んで演奏をするようになり、口伝えで世界各国からトップクラスの人間が増えてきた。

その中にはワンの父であるミスター・ワンも参加したり、新潟県では有名な医療従事者であるスズメの父、マサの父である警視総監、ジュンヤの両親の国会議員である父の方も参加していた。

そして、絶対に知られたくない人物も参加していた。その人は睨みながらきつい口調で言ってくる。

「一度だけだ、と言った筈だ。」

「申し訳ありません。」

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