君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 35

2年生の夏に、初めてタカをパーティーに連れて行った年の12月。

そう、『御』から正式に招待された、初のバースディパーティー。都議員等のレベルの人間は招待しないパーティー。そのパーティーをお開きになった後、真田のニート君を見つけた。そこで、この夏にパーティに行った目的を思い出した。

竣太の事は許せない。私の敷地や屋敷の事もそうだが、許せない事が他にもある。友の事だ。あれから、あっちからは何も言ってこない。私は絶対に許さない。竣太の奴。今度こそは逃がさないからな。

ユタカが動かない事に気が付いた連中は、ユタカの視線を追う。ジュンヤが先に声を出した。

「そっか、ここのパーティーに来る事になったのは、アレが原因だ。」

「そうだよ、私も、今思い出したところだ。」

「思い出したら腹が立ってきた。やっぱり制裁は必要だよな。」

「同感だ。」

なになにと他の連中が首を突っ込んでくるが、知ってる奴にしか言えない事だ。忘れ物と言って、ユタカはマサを、ジュンヤはタカを引っ張って行く。

「え?」

「どした?」

マサとタカは聞いてくるが、サトルにも聞いて貰いたいので黙って連れて行くことにした。

4人が戻って来たのを不思議そうに見たサトルは「忘れ物か?」と聞いてくる。

先にジュンヤが「真田のニート君が、ここの敷地内に居る」と伝えたが、サトルは真田のニート君……と呟いていたが分からない様子だったので、ここのパーティーに招待される事となった夏のパーティの件を言うと、分かったみたいだ。

「誰でも敷地内に入れるのか?」

「いや、誰でもではない。今年は、若者が大勢居たから紛れやすかったのだろうな。毎年、数人ほど入ってくるんだよ。子供や孫を引き連れて来る人が居るから、その内の一人だと言ってね。でも、直ぐにばれるんだ。」

「という事は、私達があいつを入らせた?」

「建物の中には入ってない筈だ。なにしろ警備員だけではなく、私の組んだプログラムで顔と声を認知させてるからね。んで、どこで見かけたって?」

セキュリティルームに入らせて貰い、見かけた辺りを見ていくと、あの連中と居るのが映る。でも、話してるのはスズメとだ。

当然ながら、嫌な表情をしているのが見て取れる。スズメは喋り出したら長いからな、その調子であいつを引き留めろ。

その内サトルからOKが出た。

送迎車は既に1台も残ってないのを確認して、サトルはあいつを守衛室に引率する。そこには警備員や警察官も常住しているからだ。まあ、1日もしない内に留置場から出てくるだろうな。誰を、その役目にするか決めかねてると、声が掛かって来た。

この家の、長男の昌平だった。

セキュリティビデオを見せて守衛室に連れて行くという事を伝えると、お兄ちゃんは嬉々として外に出て行った。

そうか、あの人がパーティーに参加するのは情報収集の為なのか。そう言うと、サトルはそうだ、と肯定してくる。しかも、この言葉を付け足してくれる。

当の本人は、美味いタダ飯を食いに行くと言ってるけど……。

その2人の様子をビデオ越しで見ていた。すると、喧嘩を吹っ掛ける事もなく、相手は守衛室には寄らずに門外へ出た。

何を言ったのか気になるが、庭先にいた4人を引き連れて戻ってくる昌平さんの姿が映ってる。

あの4人はエントランスのソファに座り、昌平さんが早足でセキュリティルームに向かってるのが映り、ボスが『御』の部屋から出てくるのも映る。その内、セキュリティルームのドアが開き声が掛かる。

「お前等9人は送るから、エントランスに集まれ。」

昌平さんとサトルは、9人を車に乗せ9家へと車を走らせてくれる。リムジンなんて乗った事の無い奴等はキョロキョロとしている。座り心地が良いとか、窓の外の景色がどうとか、スズメなんて黙ったままで不気味だ。

ボスはと見ると、リムジンに座りこみ目を開けたまま寝ている。こ、怖い。そういえば、高校の時、席が一番前でも前を向いてたな。横に座っていた優三郎は寝てると言ってたが、私は後ろの席だったから分からなかった。こいつは目を開けたまま寝れるのか。

実態を目にした今、その瞼を閉じさせようとしたら、なんだ?と聞いてくる。いや、起きてるのか、寝てるのではなくて……。誤魔化す様に話しかけた。

「リムジンに乗った事はあるの?」

「あるよ。」

「いつ?」

「仕事で。」

「着ぐるみ?」

「いや、送迎の時。」

ああ、そうか。芸能プロダクションは金持ちだねぇ。

リムジンに乗っていた人間は11人から4人に減り、ボスとユタカになる。

「えーとぉ、次はどっち?」

「ユタカの方。」

「えっ」

「了解。ん、えって、何?」

「い、いや何でもないです。」

(今、ユタカって言った? ユタカって、名前で言われたのは初めてじゃないか)自分のみ身が信じられず、思わず言っていた。

「友、今さっき言ったの、もう1回言って。」

「何か言ったか?」

「『次はどっち?』と聞かれた時、なんて言ったの?」

「お前の方だと言ったんだよ。」

思わず溜息が出てしまった。

「それがどうかしたのか?」

「いや、良いです……」

横目で見ると、友はあっちを向いてる。もう一度溜息を吐くと、サトルが耳打ちしてくれる。

「ボスは、顔が赤くなってるよ。照れてるんだね。」

自分の言ってしまった言葉を思い出して照れてるのだろうか。そうだと嬉しいな。今日は最高に良い日だ。友、好きだよ。これからも、もっと名前呼びして欲しいな。

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