君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 36

ユタカは車の窓を開けて手を振ると、守衛が門を開けて車を入れてくれるので、エントランスの車寄せに着く。挨拶をしてユタカが降りると、なぜか友まで降りて来る。

昌平さんが友に聞いている。

「あれ、ここで良いの?」

「はい、ここに荷物を置いてますので。今日は色々とありがとうございました。楽しかったです。」

(荷物って預かった覚えは無いのだが、どうしたのだろう)そう思いながら車を見送ると、友は言ってきた。

「トイレ貸してくれ。」

そっちか、でも嬉しいな。そう思うと、屋敷内に入りトイレに案内する。

そこで、私の家よりも友の家の方が早く着いてる筈だという事に気が付いた。それなら、どうして私の方を言ったのだろう。荷物も預かってないしと考えていたら、声を掛けられた。

「どうした?」

「なんで私の方を言ったのかな、と思ってね……」

「同じ方面なんだから、別に良いだろ。」

「良いけど。」

「こっちの家を知られたくないだけだ。」

「友……」

「あの家は、誰からも伏せてきた。マスコミや野次馬は当然だけど、お父ちゃんからもな。お父ちゃんは、あの家の存在なんて知らなかったんだよ。」

「でも、私は知ってるよ?」

すると、首を絞めてくる。

「誰が、ストーカーしてきた?」

「ご、ごめん、忘れてた……」

私の首を絞めていた手は離れ、友はダイニングに向かってる。あの、ここは私の家なんですけど。まあいいや、友がリラックスしてくれるのなら、それほど嬉しい事はない。

すると、声が聞こえてくる。

「喉乾いたから、何か水分を頂戴。」

「何でも良い?」

「良いよ。」

もう少し側に居れる。そう思うと嬉しくなり、自分で飲み物を取りにキッチンに向かった。

アクエリアスのペットボトルがあり、それを2本持ちだす。サンキュと言って友はゴクゴクくと飲んでいる。一気に半分ほど飲みきり、溜息を吐いてる。

「はぁー、生き返った気分だ。今夜は本当に楽しかったな。」

「そうだね、色んな話が出来て、皆が揃いも揃って正装してるのを見るのも初めてだし。」

「スズメなんて、馬子にも衣装だったよな。」

「カッコイイだなんて、本人には言えないよね。」

「それよりも、お前と同じピンクのシャツにチーフには驚いたよ。」

「私も、同じだーと思ったよ。」

「タカも、カッコ良かったし。」

「うん、でもジュンヤの見立てらしいよ。」

「だから派手だったのか。」

「それよりも、ワンの正装は素晴らしかったな。」

「カッコ良かったよな。体格が良いから、尚の事だよな。」

勇気を出して言った。

「あとさ、お願いがあるんだ。これからも、さっきみたく名前呼びして欲しい。これからも、ずっと名前呼びで。本当に驚いたんだよ、だからもう一度聞きたくて聞いたのだけど。直ぐに、元通りになって。だから……、友?」

黙ってしまった友の顔を覗くと、瞼は閉じられスースーと寝息が聞こえてくる。

「なに……、寝てるの? 私の、さっきの言葉を聞いていた? 名前呼びして欲しいのだけど、いや、名前呼びしてっ!」

心中で思い、それを口にしていた。だけど、その寝顔は何も言わない。何も言わない寝顔は、中学校の時、4人でキャンプしに行った時のままだ。

でも、本当に寝てるんだな。

どうしよう、ゲストルームまで運ぶのか。重いだろうな。自分の部屋に連れて行こうかな。ベッドルームは2部屋あるし、あまり使ってない方で寝て貰おう。今が夏だとダイニングでも良いのだけど冬だからね。だから、ちょっと待ってて。

ベッドシーツ等を交換して再びダイニングに降りてきたが、友は寝顔のままだ。寝ている友明を起こさない様に横抱きにし、自分の部屋へ連れて入る。

靴と上着と靴下を脱がし、タイも外しカマーバンドも外す。苦しくならない様に、インシャツのボタンを2つほど外す。そこで、思わず、生唾を飲み込んでしまう自分がいた。

スラックスを脱がすかどうか。

いや、ベルトだけでもベルト通しから外して、スラックスの前立てのボタンを外しておくか。でも、皺になると困るので脱がす方が良いのか?

しばし考え込むが、脱がす方にした。友って、ブリーフなんだね。しかも、今日はインシャツと同じピンク色でウエスト部分は黒色だ。

友明の寝姿を見つめ、何かを考えてるユタカ。そのうちに自分の寝室に入り、何かを手に取り戻って来た。その何かを友明のウエストから腹部に掛けて寒くならない様にしてやる。

同じ屋根の下。しかも、仕切りは有っても、同じ部屋内。そう思っていると寝れるのだろうかと悩んでしまう。

だが、友は爆睡している。その寝顔を見つめていると飽きる事がない。だけどそろそろ寝ないとと思うと、その寝顔にキスを落とし、自分の普段使ってるベッドに潜った。おやすみ、友。今日は、本当に最高の日だ。

翌日、朝から友の声がする。

「起きろよ、おい。ハーフ君、起きなさいっ。ハーフ野郎、起きろっ! ふぅ……、たく、分かったよ。ユタカ坊ちゃま、目を開けるのよ。……豊、朝だぞ。……ユーターカー、起きんかいっ!」

布団を剥ぎ取られ、ユタカはゴロンとベッドから落とされた。

「ってぇ……」

「やっと起きたか。」

「ぐっすり寝てたのに……」

「何時だと思ってるんだ? せっかく朝飯作ってやったのに。」

「え、友の朝飯?」

「そうだよ。食べたくないって言うのなら、自分で持ち帰る。」

「いやいや、食べるよ、食べますよ、食べさせてくださいっ」

友は部屋を出掛けにこっちを振り向いた。

「泊めさせてくれてありがとな。後……、その、脱がせてくれてありがと。皺になってなかったので助かったよ。それに、腹巻も……」

「どういたしまして。友ってブリーフ派なんだね、ピンク色可愛かったよ。」

「うるせぇっ。朝飯抜き決定!」

「やだー! 食べる!」

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