君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 39

ボスがジュンヤに声を掛けてくる。

「このまま、あいつを突っ込ませろ。合図をしたら右に寄るんだ。」

右に何があるのだろうと思ったが、合図を受けて右に寄った。すると、視界から竣太が消え、派手な音が聞こえた。

ダダダダダーーンッ!

あ、なるほど階段ね。酔っぱらってるので、階段の有無が分かってなかったという話が出来上がるな。肝心の竣太は中々起きてこない。皆は驚いて音がした方を振り返って見てるが、何処にも被害はない。なにしろ階段だからな。

既に1階に降りていたボスの声が聞こえてくる。

「医者の卵ですが、宜しいでしょうか?」

ボスが、そう伺いを立ててるのを耳にする。え、ボスが診るのかと疑問に思いジュンヤの方を見ると、両手を上げ肩をすくめ。お手上げのポーズを取っている。

仕方ないなと思って1階に降りていく。すると、何処から出してきたのか、聴診器を耳にしている。

「え?」

「いつの間に……」

すると、ボスが言ってくる。

「大丈夫ですよ。死んでないです。ただ気を失ってるだけです。酒の飲み過ぎで、階段の上から落ちたみたいですので。どなたか、控室に連れて行ってあげて下さい。」

そう言うと、警備員は竣太を控室に連れて行き、皆は安心したのかパーティーは続けられた。その聴診器は上着の内ポケットに入れられようとしている。

ジュンヤは聞いていた。

「いつから、それを……」

「医者としての嗜みだ。」

私も聞いていた。

「礼服の内ポケットって、小さい筈……」

「それ用だけどな。」

すると、役名ローレンが口を挟んでくる。

「あの時の撮影で使ったからね。」

「本物の聴診器を持ち運び出来るように大きめな内ポケットを作って貰ったからな。」

聞いてみた。

「あのさ、その撮影って、どんな撮影だったの?」

すると、2人して説明してくれた。

先に友が、

「ある宮殿を舞台とした話で、3人の若者が居ました。一人は医者で、一人はモデル、もう一人は王子。」

次いで、役名ローレンが、

「医者はアラン、モデルはローレン、王子はプリンス。その3人を巡る恋愛アクション物語だよ。」

ジュンヤが聞く。

「へー。で、相手役の女優は誰だったの?」

「男同士の恋愛物だよ。」

「おっ、男同士っ?」

私は友に聞いてみた。

「という事は、正装だけでなく礼服も略礼も持ってるって事?」

「そこかよ。まあ、持ってるけどな。」

「ちなみに、どれぐらい?」

友は、ローレンに聞きながら言ってる。

「正装が白黒の2種類が2ずつで、礼服と略礼も10ずつ。インシャツは20だっけ?」

そう聞かれ、ローレンも応じている。

「そうそう、それにリボンタイとネクタイとカマーバンドは10だったな。」

「靴下は20だっけ?」

「正装用のも数えて22。で、靴は12。」

今度はジュンヤだ。

「で、それらは貰える物なの?」

「そうだよ。だって、既存サイズのを自分のサイズでリメイクしてくれるからね。」

「へぇ、衣装持ちなんだな。」

ボスは言ってくれる。

「で、体型もサイズもそんなに変わらないから、まだ着れるって事なんだよ。」

なんか、ボスの視線が私の腹辺りを見て言ってるみたいで、むかつく。だから、言ってやった。

「なるほど、成長が止まってるって事だな。」

そう言うと尻を蹴られた。

「ったいなー」

「リメイクした箇所を解けば既存サイズに戻って着れるの。お分かり、ハーフ君?」

するとモデル連中は聞いてくる。

「へー、ハーフなんだ。」

「だから、綺麗な銀髪なんだね。」

「どことのハーフなの?」

「目の色が青だ。綺麗なチョイスだね~。モデルでも出来るんじゃない?」

するとパーティーの主から声を掛けられた。

「そろそろ始めようと思うのだけど、良いかな?」

「はい、宜しいですよ。」

そう言って、気が付いた。

「ミスター、もう1人宜しいでしょうか?」

「誰?」

友を指し示して言った。

「この人です。ピアノ弾きです。」

すると、主はホクホク顔で応えてきた。

「ピアノか、良いねぇ~。お願いするよ。」

ダメもとで聞いてみる。

「バスはありますか?」

「バス? ……バスって、オーケストラのコントラバスかな?」

「はい、そうです。」

「あるけど……」

「それでしたら」

だが、遮られた。

「ユタカッ!」

すると、主が目を細めて言ってくる。

「ほう、君は素晴らしい経歴の持ち主だな。医学部だけでなく、バスまでだなんて。待ってなさい、準備させる。」

そう言って、主は何処かに向かった。

友とジュンヤが2人揃って睨んでくるが、無視してやる。モデル連中は興味津々な表情だ。ローレンが皆に説明してる。

「アランはね、ピアノを弾かせると上手いんだよ。楽譜さえあれば何でも弾けるんだよ。あ、そうだ。十八番のあれ、弾いて。」

そう言うと、歌いだした。

「A whole  new world ♪」

その歌は友の十八番だ。さすが俳優やってただけあって、歌声は良い。すると友の歌声も聞こえてくる。その内、モデル連中の歌声も張り合う様に聞こえてくる。

その中でも、友の声は張り合うことは無く自然な歌声だ。こういう時に、歌声が聴けるだなんて嬉しいな。そういえば、教養では声楽を取っていたな。彼等の歌声を聴きながらサロンに向かった。

その内に、撮影時の主題歌だと言って2人揃って歌ってくる。あ、この歌知ってる。そうか、この歌の映画に友は出演していたのか。こいつは、やっぱり父親と同じ芸能界入りするのかな。ふと、そんな事を思った。

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