君は腐れ縁であり運命の人

豊が言ってくる。

「ところで、友。虐められてるのは、落書きだけではないだろ。」

「え?」

「体操服を破られたり、教科書を破られたりしているのに、どうして昨日言わなかったんだ?」

「何の事?」

「せっかく、職員室で話をしてたくせに。」

「聞いてたのか……」

「職員室に居たからな。」

「でも、現行犯ではないからな。」

「なら、現行犯で捕まえれば良いのか。」

「豊?」

ふふっと不気味な笑いをしてる豊は、何かしようと考えてるみたいだ。

「豊って、本当に色々と考えてるからなあ。虐めてくる奴の事は目星が付いてるんだよ。」

「そうそう。だけど、そいつは悪知恵が働いてね。尻尾を捕まえさせないんだよね。」

「豊もそうだけど、俺も虐められてたんだ。イギリスのハーフ野郎ってね。」

「え、良ちゃんも?」

「うん、そうだよ。あ、やっと名前呼びされた。」

そう、良ちゃんは中国人とイギリス人の間に生まれたせいか、髪の色が金髪で、所々に栗色掛かってる。母方の祖母の血を継いだらしく、家族4人の中で一人だけ浮いてるらしい。

それでも、中学を卒業するまでは家に居させてやると、母親の再婚相手の義父から言われたらしく、中学までは居られるんだ。と、良ちゃんは話してくれた。

その虐めてくる奴は、良ちゃんの義父の親戚筋に当たる人間なんだ、と教えてくれた。

もしかしたら、俺達3人が虐めにあうのは東京者だからか。余所者はお呼びではない。そういう考えでの虐めか。

なら、芝居をするのには頭を使わないといけないな。2,3日ほど考えて、俺は豊に話したら却下されてしまった。

豊は、自分の事を話さない。だけど、豊の所作を見てると、何かを会得してるような感じだ。合気道、空手、少林寺、他にも有りそうだ。ああ、そういえばお母ちゃんに対しての、あの動作もスマートだったな。

合気道や少林寺なら、俺もしてるから相手になってくれるかな。そう思い、豊に仕掛けるが、瞬間避けられた。

「豊って、何かやってるだろ?」

「友もな。」

「うん。合気道と少林寺を小さい頃からやってるよ」

「へー。で、なんで?」

「やってそうだな、と思ってね。相手して。」

「止めた方が良い。死ぬよ。」

「脅しかよ。悪いが、死ぬのはそっちだ。」

「はいはい。でも、今はそんな気分ではないんだ。」

東京に居た頃は、虐められなくなってから合気道と少林寺を習いに行ってた。福岡に引っ越して来てからも、道場が近場にあるというのもあり習いに行ってる。

小学校での部活は必修ではなかったから、容易に時間は取れる。段級試合でも、この3月に3級を合格した。来年は無理でも、再来年は2級と1級の二級を取る。そのつもりで稽古をしているのだが、強い奴とやり合いたい。

あの頃の自分とは違う。あの頃は芝居が必須だった。だけど、今では出来るかもしれない。そう思うと、明日は早めに学校に行こう。

班長に話を付け、明日は一緒に行けれない事を言う。

別に捕まえて吐かせ様とは思ってもない。ただ、どんな風にするのかを知りたかっただけだ。

いつもとは違う時間、1人で学校に行く。

30分程早めだが、まだ誰も来てない。待つ事10分程で、1人目が来た。

同じクラスなのかどうかは分からないが、その女子は迷わずに俺の机の横に立ち、何かを置いてるみたいだ。

男子かと思ってたのだけど、女子とはね。だが、その女子は教室を出ると4組の教室に入って行った。だけど、中々出てこない。という事は、あの女子は4組か。

それから5分後に男子が入ってきた。

そいつも、俺の机とロッカーに何かをしているのか、声が聞こえる。

「何だよ、これ。こいつを虐める奴が、俺以外に居るとはね。」

ガラッとドアが開き、声がする。

「はよー。今日も早いね。敦君、一番乗りかい?」

「ああ。一番乗りは気持ち良いぞ。」

「眠くならない?」

「恵吾は、いつも眠たそうな顔だよな。」

「敦、今日もやったの?」

「ああ。だけど、先客が居たからパスしたけどな。」

「先客?」

「見てみろよ。」

恵吾と呼ばれた奴は、俺の机に来ると嫌そうな顔をしている。

「誰だよ、こんな事をする奴は……」

「俺だって、分からんよ。」

何をしてくれたのかな、あの女子は。

教室には、段々と人数が増えてきた。しかも優ちゃんの顔も見える。俺も、そろそろ机に近付くか。天井にへばり付いていた俺は静かに床に降りると自分の机に向かった。

あの女子は、何て事をしてくれたんだ。

顔や服装は覚えてる。4組に行って、あの女子を連れてこよう。廊下に出ると、登校班が着いたのか3人の声が聞こえる。

「友が既に来ているっ」

4組に行くと、香織は机の横で固まってる。ああ、あの女子は香織にも同じ事をしたのか。敦君、お前は後だ。

無言で4組に入って行く。まだ固まってる香織の頬を叩き喝を入れさせてやる。

「いっ……。だ、だれが」

香織は自分を叩いたのが俺だと分かると泣きついてきた。

「ともぉ……」

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