君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 40

サロンに着くと、ステージ上ではバスをチューニングしている。それを見て、ジュンヤは溜息を吐いた。全く、本当にさせる気なのかとの呟きが聞こえる。

その内、「分かったよ……」と観念したかのような2つの声が聞こえてきた。ジュンヤはバスへ、友はピアノへと向かっていく。

先ずは音出しだ。友はクリスマスソングを2曲弾き、ジュンヤは友のピアノに沿って音を出している。その内、私もフルートを出して音出しをする。

3人で明るめの曲を3曲演奏すると、私はソロで吹かせて貰い、友とジュンヤはコソコソと内緒話をして、私のソロが終わると、ある楽曲を演奏しはじめた。

えっ、この曲をやるつもりなのか。でも、イントロだけで分かったのか、聴いてる人達は歌いだしてくる。「闘牛士」の歌だ。

友のピアノは低音のみで、歌声がしっかりと聞こえてくる。仕方ないので、2番目からは私もメロディを吹くだけの参加をする。飾り音はピアノが出してるからだ。

そして、このチョイスは年末という事なのか。もう1曲は「第九」だ。しかもピアノだけで、ジュンヤがドイツ語で歌ってる? 珍しい、なんてレアなステージなんだ。

しかも私にも歌えと言ってくるし。気持ちよさそうに友は弾きながら歌ってる。なので、2番から参加して歌った。

ドイツ語で「第九」は目を瞑ってても歌える。そのうちに観客席からも歌声が聞こえてくる。こういうのって良いな。

アンコールを頂き、友は締めとして十八番をソロで弾きだした。

「A whole new world」だ。

主は、まるで酒に酔ったみたいな表情で皆に向かって言いだして来る。

「彼等3人に、盛大な拍手を!」

そう言った後、こう付け足してくれる。

「毎年してるので、是非来年からも来て欲しい。招待状を送らせて貰う」

すると、2人は声を揃えて言ってくる。

「このハーフ野郎宛てに、お願いします。」

「お・ま・え・らー!」

サロンタイムが終わりダンスフロアに戻ると、さっきのモデル連中が取り囲んでくる。

「凄いねぇ、ジュンヤって隠れた才能を持ってるんだっ!」

「アランも、ピアノ最高だったよ。歌声も聴けたし♪」

「ハーフ君も、フルートって澄んだ音を出すんだね。」

「今年のクリスマスは最高に贅沢な時間を過ごさせて貰ったよ。」

「うん、そう思うよ。」

「あ、ねえねえ。年末には、モデル連中でパーティーをするんだ。2人ともおいで。」

「そうだね、服装は普通で良いんだよ。」

「でも、少しお洒落をして来てね。」

ローレンが何かを手渡してくれる。

「これが招待状の代わりね。」

そう言われ見てみると、サインがしてある。

「キョウヤ?」

「モデル名だから片仮名なの。」

ローレンじゃなかったのか。その呟きが聞こえたのか、言ってくる。

「それは俳優をやってた頃の役名だから。役をやってると、どうしても役名で呼ぶようになるんだよ。その方が役にのめり込んで良い演技が出来るからね。」

「なるほど……」

ふと見ると、友が居ない。あれ、何処に行ったのだろう。そう思ってると、にこにことして何かを持ってこっちに向かってくる。

「それは何を持ってるんだ?」

「食べ物だよ。」

「は?」

「パーティーでは飲食の飲む事しか出来ないからね。食事なんて捨てるんだよ。勿体ない。だから貰って帰るの。なら1食でも浮くよ。」

「まさか、それ目当てでパーティーに来たの?」

「そうだよ。元を取らないと、ね。それに、残った食事類は捨てられるんだよ。持って帰っても良いですかと聞いたら、喜んでどうぞ~と言ってくれたよ。それに、この季節は腐る事がないのでフライ物が多いんだよ。それを見込んでの、パーティーの食事なんだからね。」

「まさか、それって明日の?」

「うん、明日の昼飯はこの唐揚げを使って炒飯作ってやるからな。楽しみにしとけよ。」

「ええっ、明日の昼飯が炒飯?」

「そうだよ。嫌とは言わさんからな、豊君。」

「チャーハ……、え、今なん……」

「お分かり? ハーフ君」

「炒飯だけ?」(このやろ、言い直しやがって)

「スープも作るよ。何味が良い?」

「オニオンスープが良いな。」

「OK!」

ジュンヤが聞いてくる。

「え? なに、ユタカってボスの手料理?」

「良いだろー」

すると、モデル連中が手に何かを持って現れた。

「唐揚げ美味しかったよ。だから、唐揚げと野菜の天ぷらを詰めて貰った。」

「唐揚げもだけど、焼売や野菜炒めも詰めて貰った。」

「野菜は必要だよね。だからホットベジタブルを4パック詰めて貰った。」

「お肌の天敵は太陽光線だけど、内側からも元気にさせないとね。ホットサラダを貰ったから嬉しい。」

「果物も豊富にあったよ~。2パックとも果物だぃ♪」

で、これはジュンヤのねと手渡してる。

ジュンヤは手渡された物の中身を見ると、呟いてる。

「え……、これ?」

気になったので聞いてみた。

「何をチョイスして貰ったの?」

「なんで私だけ麻婆豆腐なんだっ!!」

誰かが返事をしている。

「ジュンヤに合ってそうだなと思ってね。」

「まったく……。自分で貰いに行く。」

「食い意地の張ってる奴だなぁ……」

「うるせぇ」

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