君は腐れ縁であり運命の人

君は腐れ縁であり運命の人 44

翌日、友を起こす為にゲストルームに向かった。ドアをコンコンとノックをして入る。

「友、朝だよ。」

ベッドはもぬけの殻だった。

窓が開いてるのを見ると寒いぞと思い、閉める為に近付く。すると、窓の向こうで友が何かをしているのが目についた。

オアシスで花を植えているみたいだ。そういえば、高校の時だって作業をするのに早起きして学校に行って畑作業をしていたな。オアシスの庭側には噴水があるから肝心の水やりは楽にできる。

そこに、畑でも作ろうかな。ふと、そう思い立つ。

今では既に自分の持ち物になっている、この屋敷と敷地は、私が20歳になった昨年の秋に私の物になった。今では福岡に伺いを立てなくても、自分で決められる。

友を起こすという自分の行動は無駄になったが、仕方ない。あっちの方が早起きなんだから。そう思いながら屋敷からオアシスへと足を向ける。

「友、早起きなんだな。」

「日が昇ると同時に目は覚めるよ。」

「お前は太陽と同化してるのか。」

「太陽、と呼んでくれ。」

はいはい、太陽ね。

すると、執事から声を掛けられた。

「豊様、おはようございます。」

「おはよう。ねえ、ここに温室でも作ろうか?」

「温室でございますか?」

「いつも買っているだろう。人参、ジャガイモ。それだけでも作れば少しは浮くよ。」

「菜園ですか。それは良いですね。私の老化防止にもなって一石二鳥ですね。」

「まだまだ若いよ。」

「ありがとうございます。人参とジャガイモ、それだけで宜しいでしょうか?」

すると、友は言ってくる。

「せっかく高校の時は農作業部に入っていたんだ。茄子に南瓜にトマトも追加したらどうだ? あと、苺とか。で、私も手伝う。」

文句言いたかったのだが、最後の言葉を聞くと嬉しくなり頷いていた。

「手伝ってくれるのは嬉しいけど、収穫しながら自分の口に入れるのは止めてね。」

「そんな事はしないぞ。」

「高校の時はしてたじゃん。」

「地味な行動を取る時は楽しみながらするもんだ。」

「なに、その俺様ぶりは……」

でも、友は私の方を見向きもしない。もしかして、昨夜のあれで恥ずかしいのだろうか。そう思うと、私も急に恥ずかしくなってきた。

「そろそろ中に入ろう。朝食でき上がってる頃かな。」

「ああ、そうだな。」

だが、近付いてくる気配はない。部屋に入り外に目をやると、友は1人で花に話しかけている。友、君が好きだよ。

君の為なら、私は悪魔にでもなれる。相手がどんな奴だろうが、私は闘って君を守る。アレがあろうがなかろうかは関係ない。

3年生に進級した夏休み、友はドイツに向かった。なにやら声楽の方でドイツのフェスに歌いに行ったみたいだ。その土産を帰国した時点で直ぐに貰った。

他の皆にはなしだからと言われ、優越感を持った。なにやら本部で記念撮影をしたらしく、嬉しそうに土産話をしてくれた。

4年生になる前に、友は足を怪我したのか。びっこを引いている。

私には言ってくれなかったが、スズメとサトルは聞いていたらしく、その2人が話してくれた。バイトをしていた友は、そのバイトを辞めストーカー事件も起こった。私には言ってくれなかったが、マサが護衛していた。

何で言ってくれないのだろう。

だけど、皆してサプライズしてやろうという言葉で一致団結して、友を守った。マサの仕事を分捕ってやったぜ。

5年生になると、友は親友を事故で亡くした。こればかりは、どうしようも出来ない。そのうちに何かが吹っ切れたみたいだ。

そして、卒業まで1年を切った6年生の春、友の様子が変だ。

どうしたのか聞いても、何も言ってくれない。大学ではボス呼びしてるので、プライベートでは名前呼びをしている。温室での畑作業も上の空でしてる時もある。

「友、何かあったの?」

無視されるが、これは聞いてないな。だから、今度はキスを仕掛けた。私の方を見て欲しいと思って。すると、キスだけでなく抱きしめることすらもさせてくれない。なので、もう一度聞いてみる。

「友、何かあったの? 最近、変だよ。」

「え?」

「え、じゃないよ。」

ったくもう、上の空でも作業はきちんとやっているのを見ると苦笑してしまう。友に、卒業後はどうするのか聞きたかったのに。まあ、今でなくてもいいや。

卒業も終え、3月中旬に差し掛かろうとしていた。友が死んだ、と伝えられた。

雪の日。東京で、買い物に行って巻き込まれたらしい。

嘘だろ。

友の家に行くと、弟が家庭を持って住んでいる。友はどこに住んでるのかと聞くと、2年ほど前に父親のマンションに移ったと教えてくれた。

友の死んだ事を弟に聞くと、目を伏せ言いにくそうな表情だ。それを見て、何かがぶち切れそうだ。マンションに移り住んでた事を教えてくれなかったという事ではない。

友は、私の屋敷に定期的に来て、一緒に畑作業をしてたのだから。バイトを辞めてからは、週に4日ほど来るようになってたので私は嬉しかったのだ。

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