君は腐れ縁であり運命の人

だが、優三郎のパンチは友明には当たらない。

優三郎は喧嘩には慣れてるが、武術というのは慣れてないからだ。それに、友明は当たるかどうかの瀬戸際である瞬時のところで避けている。

それを見ていた豊は、こいつは出来ると思っていた。

小さい頃から合気道と少林寺か。成程ね、言うだけの事はあるな。豊の目つきは興味本位から本気の目になっていた。

暫らくやっていたが、自分の拳が当たりそうで当たらないのが分かると、足を使いだす。優三郎は、手足の両方を使っての殴る蹴るが出来ない。それを見て取った友明は、避けるだけにした。

姉である香織は、友明は手を出さないから安心していた。

中々終わりが見えないのか、焦ってる優三郎は机などを使ってきた。教室に置いてある机や椅子をも投げ飛ばしてくる。だが、友明はそれをも避ける。

息を切らした優三郎は、肩で息をしながら友明を睨んでる。

「なんで、なんで避けるだけなんだ? 掛かってこんか!」

「俺は手を出さない。話がしたいだけなんでね」

「話がしたいだけ? なに澄ましてやがるっ!」

「話し合いだけで済むに越したことはないだろう。違うか?」

優三郎は疲れたのか、教室内に倒れてる椅子に足を取られて転げてしまった。ベタッ……と、転げて起きてこようとしないのを見て取った友明は側に寄って行く。

「なあ、優二郎君。どうして虐めるのか、その理由を聞きたいな。」

「てめぇ。ゆう……さぶ、ろう、だと言って……るだろ」

「何言ってるか分からないんだけど。」

「てめぇは、頭の中はパーなのか。」

「そう思いたければ思えば? なあ、虐める理由はなんだ?」

だが、中々口を割らない。

「優ちゃん。お前、運動神経悪いんだな。」

それでも、何も言ってこない。

「黙秘権かい? いいよ、別に。それなら、俺が虐められた事をお前にお返ししてやるよ。自分がやられたら、どう思うか。その身で感じ取る事だな。」

そう言って、友明は4組の教室から出ようとしている。

「ああ、そうだ。このクラスの教室内はお前がやったんだから、一人で片付けろよ。誰かに手伝って貰おうとするなよ。それと……、香織の机の上に乗せた奴。」

ビシッと、友明は今朝の女を指差した。すっかりと名前を忘れたので指差しだ。

「俺の机にも、同じ様に鳥の糞を置いただろう。恐らく優人の机にも置いた筈だ。綺麗に拭き取って片付けるんだな。」

廊下に出ると、5組の奴等も居た。

名前は分からないが、福山さん福山君と言えば、半分が返事をしてくるのは分かっている。だが、それを口にする前に4組の手が伸びてくるのが見えた。

すかさず上にジャンプをして躱してやる。

そのつもりだったが、勢いがついて天井に手が付いてしまい、そのまま蜘蛛みたいに5組の入り口の上まで天井伝いに移動していった。

呆れた声が聞こえてくる。

「あいつは蜘蛛みたいな奴だな……」

「飽きなくて良いかも。」

「だな。」

あはははっ……。

「虐めはなくなるかなー?」

「なくなって欲しいよなー」

と、誰かの声が聞こえる。

だが、友明は無視して、職員室に教室の電話から連絡していた。

「終わりました。」

数分後、全学年の教師達は各教室へ向かった。

6年4組の教室は、優三郎が1人で文句言いながら片付けていたので、綺麗になったらしい。香織の机の上も、綺麗になったみたいだ。

疲れたのだろうと思える程へとへとになってる優三郎は、自分の机に戻ると寝てしまっていた。

で、俺の机の上はどうなるのかな?

だが、あの女は来ない。自分でするしかないのかな。まあ、自分の机だ。自分なりにデコレーションしよう。

だけど、その臭いに目を瞑れることが出来ないハーフ君は口を挟んできた。

「友、いい加減にソレを片付けろ。」

「嫌だ。あの女が置いたのだから来るまで待つ。」

「なら、代わりに片付けてやる。」

そう言ってハーフ君は何やら掃除用具入れから出してくる。

そうしてたら、あの女がやってきた。

「あの……、ごめんなさいっ」

「何が?」

「あの、私……。私は、彼女が何時まで経っても澄まし顔をしてるので、どの様にしたら仲良くなるかなと思ってたのだけど。優三郎様から『弟を虐めると、彼女も何か言うのではないかな』と言われて。それで、私やったんです。本当に、ごめんなさいっ」

で、片付けますね。そう言って、その女子は俺の机を片付け始めた。

成程ね、香織は自分から進んで友達を作ろうとはしなかったのか。それで、気を引くため、タイミングを作る為にしたのか。やり方はえげつないが、それでも優三郎は、力を持ってる奴って事なのか。で、優三郎って誰だっけ?

昼休みになると、ハーフ君に聞いてみた。

「ねえ、優三郎って『様』付けで呼ばれてるみたいだけど、どういう人間なの?」

「あいつの家はブルジョワなんだ。」

「成程ね、それでか。」

ブルジョワ、いわゆる資産家の息子という事ね。

バイク野郎が口を挟んでくる。

「でも、あいつは夏がお気に入りだから、いつも側に居たいんだ。で、夏は友が気に入ってるみたいだから、それで余計に友を虐めてるのかもな。」

病院野郎も口を挟んでくる。

「友は、夏だけでなく優とも仲良ししたいだろ?それなら」

「いや、別に夏も優も居なくても良いよ。」

「え、そうなの?」

「うん。お前等が居るからな。」

そう言うと、3人は黙った。

「俺、何か言ったか? え、3人共なに黙ってるの? しかも、顔が真っ赤だよ、ハーフにバイクに医者の卵っ!」

ガックリと項垂れて溜息付いた3人は、俺の頭をわしゃわしゃにしてくる。

「ったく、お前は……」とは、ハーフ君。

「友、大好きっ」とは、バイク君。

「まあ、親の跡を継ぐつもりだから医者の卵だけどな……」とは、医者の卵君。

後ろから誰かの気配を感じる。

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