能登旅行2人旅

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能登半島2人旅

※優介視点※

次は金剛崎だ。

俺は悟さんの手からガイドブックを奪い取ってやる。先程とは違って、今度は俺がナビゲートしてやる。

「金剛崎。この聖域の岬は能登半島の富山湾と日本海の分岐点に位置します。地上の気流と海上の暖流寒流の気が一度に集中する日本で最も珍しい地形となっている為、大自然のパワーが一挙に集まる絶好の場所であり、パワースポットです。」

「ほう。」

「自然の莫大なエネルギーと日本海の荒々しい波、それ等とダイナミックな潮風が強いパワーとなり体内へと入ってくる。自然界からのパワーを受け取る場所として、癒しと精気を求めに来る人が後を絶ちません。だってさ。」

「なるほどねえ。」

今日は観光客も誰も居ない。

「展望台に行くか。」

「うん。空中展望台スカイバードだね。」

展望台の先まで行こうと思ってたのだけど、風が吹いて吊り橋が揺れている。

「わわっ、揺れる。」

「風が強いと、もっと揺れるだろうな。」

「そんな事を言ってると、もっと揺れるでしょ。」

数歩ほど進むと、ガクンッと大きく揺れた。

「わあっ……」

べチャッと滑って腹からずべっと落ちてしまった。

「ってぇ……」

「大丈夫か?」

悟さんはしゃがみ込んで手を差し伸べてくれるけど、俺は這って進んでいた。

悟さんは、そんな俺を見て笑ってるのか苦笑してるのか分からないが、誰にも見られてない事を祈るのみだ。

暫らく進むと大きめな隙間があり、思わず目線をその隙間に向けた。

「へえ、最高だ。これこそ絶景だな。」

悟さんの声が近くで聞こえるので上を見ると、悟さんは真っ直ぐ海へと顔を向けている。悟さんの服の裾を掴み立ち上がった俺は応じていた。

「そうだね、素晴らしい景色だね。」

「ん、どした?」

「先に下を見た俺がバカだった。」

「下って、どうなってるんだ?」

悟さんの口笛が聞こえてくる。

「これはこれは……。一巻の終わりだな。」

「そんな事、言わないで……」

意地悪な悟さんは、俺をそっとしてくれないみたいだ。

「優介、あれ見てみろ。」

「もういい……」

「どうして?」

「動けない……」

今度は座り込んでしまった。

わははっ……と大笑いしてくれるけど、本当に腰抜けたんだよ。だから言ってやった。

「笑ってくれるけど怖いんだからね。」

「優介、昼まで居た所が見えるぞ。」

「え、昼までって……、龍の所?」

「ああ、崩れた崖が見える。」

「どこ?」

「記念に撮っておこう。」

脚に力が入らないので、そのまま座り込んでいたら、パシャッ、パシャッとシャッターの下りる音がする。

何枚か撮ったのだろう。するとモニター画面を見せてくれた。

「ほら、これ。」

「わあ! この金色部分って」

「宮殿だ。で、次はこれ。」

「自分の目で見たいから、ちょっとだけでも支えてて。」

ふと、何かに気が付いた。

「ちょっと待って。さっきの見せて。」

「これか?」

「いーや、俺が映ってたでしょ。」

「ああ、こっちか。」

それは、展望台の吊り橋を数歩ほど歩いた時のだ。すると、次々と見せてくれた。

「なんで撮るの……」

「タイトル付けるなら”腰抜け泣きべそ優介”だな。」

「悟さんの意地悪っ。削除してよっ」

「嫌だね。」

「ほんとに意地悪なんだからあー」

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