やっとの事で立ち上がり岬から龍の宮殿の方を見ると、何かが貼りつけられている。
「悟さん、悟さん。」
「何だ。」
「”ランプの宿”って言う名の宿泊施設があるんだって、どうします?」
「え、何処に? あ、でも温泉の方なら電話予約でも可って書かれてるな。」
「まだ16時にもなってないし。」
「じゃ、先に温泉だけでも予約入れとくか。」
「やったぁー」
電話し終わると、何故か悟さんも御機嫌だ。
「宿泊もOKだと。」
「本当に?」
「GW最終日は、がら空きだって。」
「それじゃ、今夜は温泉に入りまくるぞー」
「じゃあ、優介。ここから降りるか。」
「ここからって、どこから?」
そう聞くと、あり得ない事を言ってくれた。
「この下に見えるだろ。あの黒い屋根。あそこだから、ここからジャンプしたら直ぐだよ。」
頷けないものがあり、思わず引いていた。
「え、何処にあるって?」
「何処を見てるんだ。上でなくて、下だよ、下。」
ほら、こっち見てみろと言って両頬を挟み持ち下向かせるようにしてくれる。悟さんの笑い声が聞こえてくる。
「なに、目を瞑ってるんだ。」
「瞑ってなんか」
「ほーら、目を開けて見てご覧。キスするぞ。」
「して良いよ。」
悟さんの顔が近づいてくるが、すぐに離れた。その顔を見ていた。
「悟さん……」
「ほら、行くぞ。」
手を引いてくれるが嫌なものは嫌だと思っていたのが、口に出ていた。
「嫌だあ……」
「どうして? もう予約お願いしたのに。それに温泉に入りまくるんだろ。」
「俺は歩く。」
「うん。だから2人で一緒に、ここからジャンプして」
「時間掛かっても良いから地べたを歩きたいの!」
そう言ってやると悟さんは大笑いしてきた。
本当に意地悪なんだから。悟さんならジャンプしても行けるだろうけど、俺はそこまで運動神経良くないし、第一、着地地点を間違えると一巻の終わりだ。
悟さんのバカ、意地悪、あんぽんたん、ぼけなすび、あっぱっぱっのぱー。