能登旅行2人旅

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能登半島2人旅

※優介視点※

新東名高速道路を使い東京に戻ってきた。乗って帰ったレンタカーは家近くにある営業所に乗り捨てて、そこから徒歩で帰ってくる。

その時に話してくれた言葉。

「今度は1週間掛けて来ような。行き当たりばったりなスケジュールよりもリサーチ必要だな。今回は初っ端から数時間だと思っていたのが何日だっけ、5日間か。あんなにも時間掛かったとは思いもしなかったからな。お蔭で調子狂ったわ。でないと今回のように運転だけで疲れる……」

「そうだね。お疲れ様でした。明日から仕事でしょ。今夜は、ぐっすりと寝てね。」

「結局、意地悪することもなく寝てしまったし……」

「そうなんだ?」

「ああ。せっかくの邪魔者もいなかったのに惜しかった……」

優しく微笑んでくれた悟さんは、いつもの意地悪な表情でなかったので安心したものだ。

家に帰り着くと、悟さんはガレージに入っていく。なぜガレージなんだと思って見ていると、段ボールを自分の書斎に持って上がっていく。

その様子をジーッと見ていた。

悟さんは寝室と書斎の壁に金の弾倉を突っ込んだままの弾帯を飾り置き、残り一弾帯はシュークリーム屋の奥にある作業場の壁に飾り置いてくれる。金の弾は一弾倉だけ中身を出して弾帯の手前に弾と弾倉を並べている。

なにやら、他にも貰って帰ったみたいだ。

書斎にサブデスクを用意して金の弓矢1セットを壁に飾ると、金色のペン、金色のがま口財布、金色の札束入れ、金色の水筒、金色の小物入れ、金色のブックスタンド、金色のフェンシング剣と盾、金色のミニ鏡、金色の懐中時計を置いていってる。

本当に金一色のデスクになっている。

もしかして、あの龍は文句を言いに来たのではないだろうか。

「おい、人の物を勝手に漁るな」って。

満足げな悟さんを見ていると溜息が出てくる。

俺は、昌平さんに渡す手紙を書いていた。だって、あの悟さんが自分の言った事を忘れる事はないのだから、書けと言われる前に書いておこうと思ったからだ。

『納品額の変更』と称した手紙を添えてシュークリーム80個を納品箱に詰める。

先に目を通して貰おうと思い悟さんに見せる。

『 納品額の変更

最近の物価上昇により、業者から粉と玉子、及び乳製品を値上げしたと連絡がありました。

それに伴い、来月1日から、以下の様にさせて貰います。

10個単位 1,000円→1,400円

御理解御了承のほど、宜しくお願い致します。

シュークリーム屋の優介より  』

見せるとすぐに言ってくる。

「1,500円と言ったよな。」

「一気に500円上がるより、400円上がる方が払う側は気分が違います。それは俺も分かってるので、昌平さんも分かるはずです。」

「私の言った言葉を覚えてるか?」

「昌平さんには見せるだけでなく口頭でも説明するので、それを聞いてから返事を下さい。」

「分かった。説明してみろ。」

息を吸って説明してやる。

「業者からの納品額が、強力粉及び粉関係は300円、玉子は150円値上がり、こちらも値上げをしないとやっていけない状態になりました。そして原材料であるバターや牛乳、生クリーム等の乳製品も350円値上げになります。

本当に心苦しいのですが、このままの卸値の1,000円で続けていくのは正直な話やっていけません。それに、赤字を出す事は店を畳む事に繋がります。私としては畳む事はしたくないので、値上げさせて頂いた次第です。

だからと言って昌平さんのお店に800円を値上げた金額で卸そうとは思ってません。これからも付き合っていきたいと思っていますので、せめてもの気持ちで400円に抑えさせて頂きました。御理解、御了承のほど、宜しくお願い致します。」

俺の説明文を目を細めて聞いていた悟さんは、一言だった。

「ま、良いだろう。」

「ありがとうございます。では、納品に行ってきます。」

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