ちなみに、その日の夕方17時過ぎにコンビニ店長とバイク屋の店長は戻ってきた。
お隣のガレージに悟用の段ボールを突っ込み終え、自分たちの荷物も出し飾り終えると時計は18時半過ぎになっていた。
「帰ってきたなあ……」
「楽しかったな。」
「そうだな。今日と明日はゆっくりするかー」
「個人営業だからこそできるやつだな。」
新一の、その言葉に昌平は微笑んでいた。
「ボス……」
「晩飯どうする?」
「デ、デリバリーを頼む?」
「良いねぇ。そうしよう。」
それぞれが好きな物を注文する気だった。そんな時、呼び鈴とは言えない低音の声が聞こえてきた。
「ピンポーン、ピンポーン」
その呼び鈴を声にしている持ち主に気がついたのか、新一は笑っている。
「ボス、誰かが来たみたいだけど……」
「今日はコンビニとバイク屋は休みです。」
すると声が聞こえてきた。
「昌平、新一、居るだろう。たまには一緒に食べないか。」
その声にドアを開ける。
「おんや、これは珍しい人だな。」
「ジェットを戻すだけ戻して、本宅に寄らないってどういうことだ?」
「先にこっちに戻ってきて、ジェットを戻しただけなんだけど。」
「帰ってきたなら顔を見せろよ。」
「ほいほい。」
「で、悟は?」
「優ちゃんと一緒に旅行中。」
チラッとこっちを見てくる。あ、これはもしかしてと思ったら案の定こう言ってくる。
「邪魔だったか?」
「え……? い、いや。そんなことないよ。なあ、ボス?」
そうしたらこう言ってきた。
「そうだよ。邪魔だよ、邪魔。」
「ボ、ボス……」
ボスの弟である隆星は珍しそうな物を見る目になっている。
「へぇ、昌平がそんなことを言うとはね……」
しかも、今度は俺に言ってくる。
「無事に手懐けたな。」
「ち、違う……」
「違うってなにが?」
「だから、隆星が思ってるようなことじゃない!」
「叫ぶようなもんじゃないだろう。昌平に思いを寄せて何年だ? それを思えば手懐け成功したなぁ。」
この野郎と思い胸ぐらをつかむ。
「だから! 違うって言ってるだろ!」
「言っておくが、私にはソレは効かない。」
ボス、こいつをなんとかしてくれと思っていると、こうも言ってくる。
「隆星。私たちはこれから食事をデリバリーしようと思っているんだ。邪魔だから帰ってよね。」
ちょっと待ってよ、なんでそういうことを言ってこいつを煽るんだよ。
「なぜデリバリーなんだ?」
「たまには美味しい物を食べたいじゃない。なあ、新一?」
「持ってきた。」
その声にボスと声が重なっていた。
「隆星、おまえは……」
「隆ちゃんは寂しいんですかあ?」
あ、そっちか。それは当たりだったみたいだ。その言葉に、隆星はそっぽを向いてしまった。
「龍の話しを聴きたいから……」
「まぁー! 新一、こんな珍しい表情をする隆ちゃんだなんてレアよ、レ・ア・も・の。仕方ないから、今日はうちの本宅食事で我慢してね。」
「良いよ。」
たしかに拗ねている表情はレアだよな。
こいつとは中学からの付き合いだけど、こんな表情をしてくるのは甘えている証拠だ。そう言えばずっと家族と一緒で暮らしていたのに、1人になったからか。寂しがり屋なのは相変わらずだな。
その寂しがり屋で甘えたの隆星は俺に向かって怒鳴ってくる。
「新一、何がおかしい!」
「いーや、なんでもない。」
本音は2人きりで食事したかったのだけど、緊張して喉を通らないかもと思っていたんだよな。それを思えば、邪魔してくれるのはありがたい。
でも、こんな表情の隆星を見るのは久しぶりだ。