ジョンを使おうと思ったのだが、フィルが居たので、フィルを連れて色々と調べていた。
ある家に着くと、隣の家の屋根に誰かが寝そべっているのが見える。
先にフィルが声を掛け、それがジョンだと知ると思わず門を開けようとしたが、セキュリティに絡め取られてしまった。
「なんだ、これはっ!」
なにやらジョンがプログラムしたセキュリティに不審人物だと認識されたみたいだった。
全く、私が不審人物だなんて。
その夜、いつもと同じ様にホテルに戻ろうとしていたら、警察がエドがボスをしているGPの周りを陣取っているのが見えた。それを見ていた。
あれはアランだ。
誰かに追いかけられているみたいで、その様子を見ていた。
アランの目の前に、一人の細身の男が声を出してきた。
「お前……、もしかしてブラッディか!」
その名前は中国で使わせていた。それを知っているのか、その男は。
アランは、一瞬を狙われた。
「隙有りっ!」
足を大きく払われて、地に膝を付いてしまった。
「っ…」
恰幅の良い男が口を開いてくる。
「ヨウイチ。ブラッディって、もしかして中国の?」
ヨウイチと呼ばれた細身の男が、それに即答している。
「そうだよ。中国を中心としてアジア圏内の一匹狼。毒使いのブラッディだ。ワン、お前知ってるのか?」
(恰幅の良い男は”ワン”と言う名か)
すると、ワンはアランを羽交い絞めにしてきた。
「お前がブラッディか。私の執事を…ダンを殺した、あのブラッディか…」
「え…、ダンを殺した?」と、細身の男が。
「ダンって誰だ?」と、アランが同時に口を開いた。
「貴様、香港の屋敷に住んでる人間を殺しただろう」
「香港には、屋敷は一杯あるだろ!」
「屋敷は一杯あるが、それなら、こう言わさせてもらう。香港マフィアの屋敷に入った事は?」
「……! まさか、お前はっ」
「私は、香港マフィアのドンの息子だ! ダンの仇!!」
ゴギッ!!
(まさか、このワンと言う奴は、香港マフィアの者か)
すると、急に騒がしくなってきた。
「タイムリミットだ。ヨウイチ、それを見て、お前が執れ!」
「へ? え、ボス?」
「ユタカ、お前のは長過ぎだ。言ったろ、6分って」
「だって、初だし……」
細身の男は、クリニック・ボスから渡された紙を見てイタリア王子に言っている。
「へー……。私やマサが外に出てたから、ユタカが執っていたのか。なあ、ユタカ。お前こう思っていたんだろ。『いつも右腕に居座ってた奴が、今回は外で待機してる』と、少しの間、優越感に浸ってた。違うか?」
イタリア王子は残念そうに毒づいていた。
「くそっ! そうだよ、悪いか」
ふっと、鼻で笑い細身男はクリニック・ボスに言ってた。
「あと、どれ位だ?」
「3分あるかないかだ」
「OK!ちょうどタカとユウマも着いたみたいだし、マサとユタカ、お前等も入れ」
「えっ! 私は仕事」と、マサが。
「くそったれ、そうなるよな」と、イタリア王子が同時に呟く。
クリニック・ボスが一言付け加えてくる。
「ヨウイチ。短く、1本で決めろ!」
「ラジャ!」
そう返事をした細身男は、皆に向かって指示を出す。
「マサ!ユタカ!ユウマ!タカ!カズキ!ワン!スリー・ワン・ツーでいくぞ!」
皆が、それぞれ応じる。
「OK!!」
「1分だ。いいな!!」
クリニック・ボスが口を挟んでくる。
「ヨウイチ」
「なんだ、まだあるのか?」
「昔とは違い、皆コロコロと太っている。1分で大丈夫なのか?」
皆が「ボス!!!!」と叫び睨んでいる。
わはははっ!!と、大声で笑いながら、細身男は断言した。
「1分だ! 出来るはずだ。私の口上は一つだけ」
アランは、やっと体が動かせるようになってきたみたいだ。
そして、走り出した。と同時に、細身男は口上を述べた。
「そいつは殺人魔だ。ボスに銃を発砲し、左目を失明させた! 逃がすなっ!!」
その言葉を合図に、皆が一斉に返事をして動いた。
「ラジャ!!」