捕り物が始まった。
そんなにも経たない内にアランは細身男にやられた。
あんな無様な恰好を見せつけてくれるとはな。どこがNo.1だ。
しかも、何だって。
「8年前のシンガポール銃撃戦の黒幕と実行犯、逮捕だ!」
という事は、ジョシュアを殺したのは、こいつか。
私の……、私の、お気に入りの側付を。
よくも……。
エドワードの声が聞こえてくる。
「アラン? 8年前の黒幕って、実行犯って…」
「エド….. 」
「こんなにボロボロになって……」
その2人の間に割り込んでやる。
「無様な恰好だな。プロの殺し屋が、あんな奴等にやられるなんて」
エドが、その言葉にすぐに反応した。
「マルク。言って良い事と悪い事が」
エドの言葉を遮ぎってやる。
「もちろん、それは分かってる。だが、あの人の側付きがニュースの一面に出るものではない。貴様は、この私が殺してやる」
「マルクッ、やめろ! アランは卒業してるから、もう関係ない」
そいつを睨んだまま言い放ってやる。
「卒業? 誰がだ? ウィルは、私に正論を言い放って言い負かすし、ジョンは、私に面と向かって愚痴を言ってくる。だけど、私は許したんだ。ウィルは『本の虫』で籠っていたけど、世界をもっと知りたいと言ってたから。ジョンは『泣き虫』だけど、自分の任務を果たしてドイツに戻ってきて、強くなりたいと言ってきたから。だから、私は2人の卒業を許可したんだ。 でも、ソイツは卒業してない。だから任務は与え続けられる。それに、貴様は自分の仲間を殺した。私の気に入ってた1人を、ジョシュアを……」
エドは目を見開いてる。
「アランは、卒業してない? してないのに、ここに来たのか?」
「エド。貴方が、ここに居る。何度、捕まろうと、私は戻ってくる。私には、貴方だけだ。貴方が、私の……だ」
エドは首を振って言い切っていた。
「アラン、お前の主は『御』だ。間違えるな。今度、ここに……、私の所に戻ってくる時は、卒業してから来い。いいな、約束だぞ! な、アラン」
ったく、エドは……。
最後の最後に主人顔をしやがって。
クリニック・ボスから何かを言われてたアランは伏せていた顔を上げた。