エドに声を掛けていた。
「ところで、エド。ヒロの居場所を知らないか?」
エドはヒステリックになってる。
「今は、そんな気分じゃないっ!アランが、あの『ブラッディ』だったなんて。アランが殺人魔に、なってたなんて。なにより、まだ卒業してなかったなんて。アラン、アラン……」
パンッ!
煩いので、エドの頬を叩いていた。
「エドワード! そんなに取り乱してどうする? 言っておくが、お前は、まだエントリーから外れてないんだからな。しかも側付きにうつつを抜かして骨抜きにされおって。 パトリッシュの名折れだ。恥を知れっ!!」
エドワードは、今までの鬱憤を晴らす為か一気に言い返してきた。
「それを言うのなら、自分が再婚すれば済む話だろう! なにがエントリーだっ。とっとと再婚しろよ。 ……あぁ、そうか。こんな年寄を相手にしてくれる令嬢は1人もおらんよな」
その言葉に血管を浮立たせるほど、エドワードの言葉に怒っていた。
「エドワードッ!」
ウィルは、その2人を見て呟いてる。
「あの2人は、昔は仲良かったのにね……」
同様にフィルも呟く。
「ったく、ほんとだな。あの2人は犬猿の仲だよな」
でも、ジョンは違ってた。
「仲が良いほどケンカするって言うでしょ。それだよ」
ジョンの言葉が聞こえたのか、私とエドワードは2人して言葉を重ねた。
「 ジョンッ! 誰が、誰と仲が良いって? 私は、こいつが嫌いなんだっ!」
肩をすくめて、ジョンは言ってのける。
「ほらね」
「ほんと、仲が良いな」と、フィルが。
「さすが従兄弟。息がピッタリ合ってる」と、ウィルまでが言ってくる。
仕方ないので切り札を持ち出してやる。
「ウィルッ、ジョンッ! お前等の卒業を取り消してやるっ!」
そう言われたウィルとジョンは、2人して返してくる。
ウィルは、「私が何年前に卒業したか、覚えていらっしゃいますか?」と。
ジョンは、「私の愚痴を、またお聞きになりたいですか?」と。
それを聞き、グッ……と言葉に詰まってしまった。
ウィルが、ジョンの言葉に反応した。
「愚痴? ジョン、お前……マルク様に愚痴ったのか?」
「うん。最後だと思って…。言いたいのを、ずっと我慢してたんだ。それを爆発させた」
フィルが聞いてくる。
「なんて言ったんだ?」
ジョンは、逃げながら言った。
「それは教えない。ごめん、帰るねっ。レイ、帰りましょう」
当然だ、誰にも言うなよ。
忘れたい言葉の羅列だったんだからな。
そんな気持ちの時、ドイツから連絡が着た。
「何だ?」
『側付を全員、卒業させた。知らせたからな』
「何だとっ」
こうなると早く帰らないと。
しかし、何も手に入らない。
このままだとジョシュアの仇討ちも出来ない。
だけど、ただ一つ。
これだけは分かった。
一番のカギを握る人物が誰なのか。
そいつを連れて帰る。
二兎を追う者は一兎をも得ずと言う言葉があるが、ジョシュアを殺した犯人も分かった。
ただ、ヒロの居場所が分からない。
何処に居るんだ。
ヒロ、あれから会ってない。
会いたい。
会って話をして一緒に旅をしたい。
5回目の男2人旅の行先は、行き当たりばったりでも良いかな。
―――ヒロ、何処に居る。